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2023年11月30日 (木)

復活のストリート・スライダーズ、夢のような一日

ストリート・スライダーズが復活した。

ぼくにとっては今年いちばんのニュースだ。

ニュースサイトで第一報を見たときは、目を疑った。

メンバーそれぞれが自分の道を進み、再結成は二度とないものと思っていた。

ハリーと蘭丸はときどきJOY-POPS名義でライブを行い、スライダーズの曲を演奏していた。

でもそれはどこか、ストリート・スライダーズという夢のなごりのように思えた。

でも今回はちがう。

スライダーズの4人が集まり、また演奏するのだ。

 

アナウンスがあってから、SONYのスライダーズのwebサイトにはライブの告知、物販の案内などが次々とアップされた。

夢じゃない。スライダーズが復活する。

 

2023年5月3日。水曜日。

ぼくは日本武道館にいた。

道順が分からず、JRの御茶ノ水駅から延々と歩く。

よく晴れた5月の午後。

武道館に続く坂道を上るにつれ、同じ方向に向かう、いかにもそれらしいロックファッションの人たちが増え始める。

ブラック・ジーンズ、腰にペイズリー柄のバンダナ。背中にペイントの入ったレザージャケット。ブーツ。缶バッジ。逆立てた髪。サングラス。じゃらじゃらしたアクセサリー。スライダーズのTシャツとタイトなブラックスーツ。

ほとんどは50代から60代だ。白髪と皺。でも何も変わらないファッションで、彼らはスライダーズのライブへと向かっている。

仲間といっしょの人もいれば、一人で黙々と歩いている人もいる。

80年代、90年代を生き延びてきた人たち。

ぼくは彼らを抱きしめたくなる。

 

チケットはもちろん、ソールドアウト。

ぼくも一時抽選ではチケットが買えず、機材席開放追加チケットをやっとゲットできた。

早めに会場に着いたので物販に立ち寄ったが、Tシャツ類は半分以上がソールドアウト。

会場が開く前にもかかわらず、大勢の人びとが詰めかけている。

みな不安と興奮を押し隠した表情で、落ち着かない様子だ。

会場がオープンし、無数の人びとが武道館の階段を上がっていく。どこまでも途切れないロックファッションの人波が上っていく。

 

そしてライトが落ち、ライブが始まった。

ダウンテンポのチャンドラーが一曲目。

絡みあう二つのギター。粘るビート。ギターとは対照的にタイトで正確なドラムとベース。

腰だめにギターをかまえる蘭丸。ハスキーなハリーのボーカル。

まさに唯一無二、ストリート・スライダーズのサウンド。

彼らが2023年のいま、ステージに立って名曲の数々を演奏していることが信じられない。これは夢じゃないだろうか。

気がつくとまわりが歌っている。自分も歌っている。

ここ10年ほどは聴いてない曲もあるのに、ふしぎなことに、歌詞もメロディーもぜんぶ憶えている。

 

エンジェルダスターやペースメーカーを聞いているうちに、数十年の時間が一瞬で吹っ飛ぶ。

ヘッドフォンを耳に押しあて、繰り返し繰り返しスライダーズを聞き続けていたころにタイムスリップする。

感情が高ぶり、ありったけのコインを聞いているうちに涙がこぼれそうになる。

 

アンコールも含め17曲。

たっぷり2時間のステージだったにもかかわらず、夢のようにあっという間の時間だった。ライブがこんなに短く感じられたのは生まれて初めてだった。

 

アンコールのあと、立ち去りきれず声援を繰り返すファンたち。

もうこれでスライダーズの4人には会えないのか。

と、客電がつくと同時にステージの四方に巨大な垂れ幕がぶら下がった。

「ザ・ストリート・スライダーズ 秋 ツアーやるゼィ!」

やられたね。

 

会場の外に出ると同時に、秋のツアーの先行チケット販売のチラシが。

発売開始は終演わずか30分後。急いでチケットを取るしかない。

人波に押されて駅に向かいながら、ふと後ろを振り返ると、武道館の上に満月がかかっていた。

完璧なライブ、完璧な一日。

夢のような日が、もう少し続きそうだ。

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