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2022年1月25日 (火)

依存症からの回復とは?2022年編

依存症からの回復とは何か?
古くて新しいテーマだ。そしていまだに決着は着かない。色んな立場の人がそれぞれに回復のあり方を模索し、それはそれで納得がいく。でも、万人が納得する「回復の定義」みたいなのは(たぶん)決まらなかった。
ぼくも回復については、このブログで幾度となく書いてきた。けど、そのときそのときは納得できてもあとで考えると考えが狭かったり、どこかズレがあったように思う。

久しぶりに故郷のAAミーティングに戻ったとき、ある仲間に出会った。ぼくは驚き、そしてうれしかった。
彼は、以前のぼくの視点で言えば、うまく回復できない仲間だった。しょっちゅうスリップを繰り返し、そのたびに言い訳がましい(読んでたらゴメンね)理由を並べ、現実的でない展望を主張していた。そしてそのどれもが行動がともなっていなかった。
彼が12ステップを踏んでおらず、AAプログラムが入っていないのはあきらかに見えた。
「行動のともなわない信仰は死んでいる」と、ある日ぼくは彼に言ったように思う。ビッグブックのフレーズだ。なぜそのとき、そんな話を彼に持ち出したのかは憶えていない。でもいまにして思えば、そのときのぼくはひどく傲慢だった。自分がビッグブックの代弁者だと、AAの回復の代弁者だとでも勘違いしていたのかも知れない。ひどい話だ。
もちろん彼の胸に言葉が届くはずもなく、彼は再飲酒を繰り返し、ぼくは故郷を離れた。

最近思うんだけど、回復の定義って別に決めなくていいんじゃないかな。
人によって回復のあり方はまちまちだと思う。多様な回復があっていいんじゃないかと思う。もちろんビッグブックには、回復の方法について書いてある。暴走したエゴを抑えること、過ちの本質を探し見つめること、無力を認めること、仲間のために行動することなどなど。
でも、死なずにミーティングに足を運び続けることだって立派な回復だと思う。
アルコール依存症と言う死の病に飲み込まれずに、AAミーティングに足を運び続けることだって回復だ。ステップがどうとかよりも、そっちの方がはるかにたいせつだ。もちろんビッグブックには、生き延びるためにはアルコホリズムを解決する必要があり、アルコホリズムの本質を解決するにはプログラムが必要だと書いてある。でもそれができる仲間ばかりじゃない。
再飲酒を繰り返してでも、とにかく今日は死なないこと。死なずにミーティングにたどり着くこと。明日も明後日も、一年後も。それも一つの回復だし、回復の形に上下はない。ただちがうだけだ。

ぼくは彼に再会してうれしかった。彼が以前と変わらない様子でミーティングに顔を出し、以前と同じようにどこか居心地の悪い様子で座っている姿を見て胸が温かくなった。
そして、これからも彼にまた会いたいと思った。会い続けたいと思った。
本名も知らない仲間だけれど、スリップを繰り返しながらミーティングに通い続ける彼から、ぼくはたしかにメッセージを受け取った。

遅かれ早かれいつか、彼もぼくも死者の列に加わる時が来る。
そのときまで会い続け、回復し続けましょう。

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コメント

僕は摂食障害を専門としているので、若い女性たちに「僕はあなたが大好きです」とメッセージを送ったりすることがあって、その言葉が万が一漏れたりするとやっかいなので、一切のSNSはやらないことにしています。それで、カオルさんがこのブログに帰って来てくれたのがうれしい。そのブログの中で、この回の言葉に感激して、初めて言葉を返したくなりました。死なずにいることだって回復の一つ。カオルさんも死なずにいて、そして仲間の中で、心が広くなっていったのだなぁと感じました。それで生きやすくなっているのでしょうね。(僕はアルコールを全く飲まないのだけれど、一人のアディクトとして1年に何度か自分の町のAAに参加させてもらっていました。ところが勤務体制が変わって、出られなくなって残念です。)

投稿: yuki.k | 2022年2月13日 (日) 18:16

yuki.kさん、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおりで、まずは生き延びることがたいせつかなあと思うのです。
最近は特にそう言う思いが強いですねー。
yuki.kさんのように、アルコール以外の方からコメントをいただけるのはとてもうれしいです。
ブログはボチボチ更新していきますので、よろしければまた遊びにきてください。
よろしくお願いいたします。

投稿: カオル | 2022年2月14日 (月) 12:52

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