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2021年11月30日 (火)

AAのオンライン化、ローナーとホーマー

AAはオンライン化で変わったのだろうか?
ときに自分に問いかけてみる。難しい質問だ。変化した部分もあれば、変化しないままの部分もある、と言うのが正解だろう。
問いを変えてみる。
AAがオンライン化することで、自分は何が変わったのか?
これなら答えやすい。僕の場合、オンライン化のメリットは大きかった。
いま住んでいるあたりにはAAがない。あると言えばあるんだけど、仕事の都合でどうしても参加することができない。
いちばん近いAAミーティングは、高速道路を使って1時間以上。これではさすがに参加はかなわない。仕事が終わってからミーティングに参加して、翌日に響かないように帰って来るという、以前は当たり前だったことができない環境だ。

そういうのをAAの業界ではローナー(Loner)と言う。
Loner: 近所にミーティングがないため、定期的なミーティングに出られない人
https://www.aa.org/assets/en_US/smf-123_en.pdf
ちなみにホーマー(Homer)という人たちもいる。
これは、身体的ハンディキャップのために家から出られず、ミーティングに参加できない人を指す言葉だ。。日本では、たとえAAミーティングに行きたくても身体的なハンディキャップが大きければ、家族の支援なしには参加できないケースがほとんどだろう。
ローナーやホーマーにとって、オンライン化は歓迎すべきことだろう。
オンラインミーティングの是非は議論されて良い。オンライン化に難色を示すメンバーがいてもおかしくない。でも、COVID-19の影響でローナーやホーマーにミーティング参加の道が開けたのは福音ではないだろうか。
もちろん、オンラインミーティングは通常ミーティングとはちがう。
なんと言えば良いのだろうか。良くも悪くもオンラインミーティングは、通常ミーティングのダイジェストといった感じだ。
オンラインで参加する際、通常ミーティングで経験するあの独特の雰囲気を頭に思い浮かべながら、僕はミーティングに参加する。ビッグブックやハンドブックの朗読を、ミーティング場で大勢の仲間が聞き入っている光景を念頭に置きながら聞く。
仲間の話も、どこかオンラインという道具を意識し、一歩引いたような話しぶりが多い。ミーティング場での熱い語り、時には嗚咽しながら感情を吐露する光景は見られない。
それでも、そこにはたしかに仲間がいる。
ミーティングでしか会えない仲間。通常の生活では決して出会うことのできなかった人々。
そう言った人々が集まり、アルコールで痛めつけられた経験を持ち、そこからの回復を目指している。そのために仲間を求め、求められ、人の役に立とうとし、自分の生き方を点検する。
人と人が出会い、経験と力と希望を分かち合う。そのパワーは、ツールはちがっても確実にそこにある。

でもオンラインミーティングのかたわらで、僕は古巣のミーティングにもときどき戻ることにした。生まれ育った町の、僕がアルコールにおぼれてそこからAAに助けてもらった町の、懐かしいミーティング。
オンラインにはオンラインの、会場には会場の良さと不便さがある。
回復し続けたければそれを見すえ、自分に必要なものを求める必要がある。
仲間とともに、歩き続けること。

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