« 2016年11月 | トップページ | 2017年2月 »

2017年1月28日 (土)

できないことを認める

異国に暮らしていると、「できないこと」に直面してばかりだ。
例えばいま、上司にミーティングキャンセルのメールを書いた。このメールを書くのに1時間かかった。
1時間も何をしていたのかと言えば、業務進捗状況の確認に15分、自分の感情と折り合いをつけるのに40分。メール書きは5分だ。
なにせ、上司からの課題が遅れに遅れている。すでに数ヶ月。とうに仕上がっていなければならない。しかし、そのためには大量の書類を読み、分からないところがあれば知っていそうな人に問合せ、書類の草稿をまとめ、また訂正という作業を繰り返す必要がある。
これを英語でやるというのは、非常につらい。
つらい上に、アリが這うほどの速度でしか進まない。そしてできた英文の文書は、自分で読んでもいやになるほどクオリティが低い。
日本にいて、日本語で、日本人の同僚に同じことをやるのは造作もないことだ。ちょっと、ここ分かんないんだけど、知っていたら教えてくれないかな?いま詰まっちゃってるんだけど、どうしたらいいかな。ちょっとこれ、読んでみてもらえる?
しかしいまは人にものをたずねるにも、質問事項をまとめ、英語の言い回しを考え、その上で話を持って行かなければならない。頭に浮かんだことをそのまま口に出すということができない。
そして往々にして、そうやって求めた返事も、何を言っているのかよく分からない。
会話の質が低く、聞き漏らしが多い。母語なら当然の、考えながら話す、聞きながら考えるということができないからである。

昨年末から、フィンランドから別の担当者が来た。
フィンランドでは、かなりの人が英語を自由に使えるらしい。
彼は、ぼくが1年ちょっとかかってやってきたことを難なく数ヶ月で達成し、さらにその上を行っている。
彼は英語の文書が苦もなく大量に読め、大量に書け、周囲と込み入った会話ができる。
ぼくはその脇で、ひたすら黙って辞書を引きながら込み入った文章を解読している。
全体会議では流れについていくのがやっとで、意見など言うヒマなどはない。あるいは、意見を頭の中で英語に直している間に、あっという間に話題は飛び去って行ってしまう。

いま、ぼくはこの職場環境で「いちばん貢献していない人」である。
そして、それを解決する見通しが見えていない人である。認めざるを得ない。
自己憐憫に陥るものかと思いつつも、気がつくとまわりと自分を比べている。
無力である。
そして、無力を認めるというのは、こんなにもきついものなのかと思う。
期せずして、酒をやめたばかりのころを思い出す。

無力を認めるには、代わりになる何かが必要だ。
AAでは、アルコールに対する無力を認めれば自由に生きられる、アルコールなしの新しい生き方が手に入ると言う光が見えた。それは、AAにつながりつづけている仲間の姿から感じることができた。そして、彼らの助けの手があった。
ただ単に無力を認めろと言っても、認められるわけがない。その代わりになる希望、酒をやめたあとにある光が見えなければ、とてもできるわけがない。
「無力を認める」のと「解決がある」ことは、同時に示されなければならない。
どんなに進歩しても、酒をやめたあとの希望、酒を手放すに値すると思える生き方、笑顔、よろこびを医学は提供しない。それはやはり、自助グループと仲間だけが見せることができるのだ。

と、AAのありがたみを再確認したところで、きょうも孤立無援の職場でがんばるわけです。
12のステップとハイヤーパワーがあれば、きっとだいじょうぶ。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2017年1月25日 (水)

献金のおつり

きのうのミーティングでのこと。
参加者は7名ほど。
当グループは献金箱がないため、ミーティング終了後に係の人に直接献金を手渡す仕組みだ。
ぼくは細かいお金がなかったので、5ドル札を手渡した。
「ちょっと待って」
そう言って献金係の彼女は、ぼくにⅠドル札を3枚返した。
ううむー。
AAにつながって十数年。献金で「お釣り」をもらったのは生まれて初めてだぞ。
色んな国のミーティングに出てきたけれど、どこもお釣りはなかったな。
なかなか得がたい経験でした。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2017年1月24日 (火)

新大統領就任式、取り残された人たちの声

2017年1月20日、大統領の就任式を見てきた。
会場はワシントンDCの中心地、国会議事堂とその前に広がる広大な敷地、ナショナル・モールである。
チケットを持ってれば国会議事堂でオバマやトランプを間近に見れるのだが、市民権がないとチケットが取りにくい。
と言うことで、ナショナル・モールの広大な緑地帯で就任式を見た。

ワシントンDC市内は何重にもフェンスが張られ、すべての交差点を軍が警備している。
Isisもテロ予告しているし、まあ当然の措置だろう。

Th_dscf4078

歩行者の導線を制限しているため、最寄り駅からナショナル・モールへは、大きく迂回路を通らなければならない。そしてチェックポイントで手荷物検査を受ける。
手荷物検査は厳しいと言えば厳しく、甘いと言えば甘い。
すべてのバッグは徹底的に検査される。デジカメは係員の前で撮影して見せて、偽装品でないことを証明しなくてはいけない。スマホ、タブレットも同様。小包の類いは、爆弾の可能性があるため持ち込み厳禁。
その一方で、ポケットの中身などはチェックされなかった。これで大丈夫なのかと思う。
まあ、大統領やVIPからは遠いからなのかも知れないが。
チェックポイントを通過して会場に入ると、中はガラガラ。思った以上に人がいない。
が、これはチェックポイントの荷物検査が厳重なこともあるだろう。事実、ぼくと妻は1時間以上行列に並んでやっと会場に入れた。
ぼくたちよりあとに並んだ人たちは、式の半分以上進んでからようやく中に入れたと思う。

巨大スクリーンに、前大統領の顔が浮かんだ。
いくつかの引き継ぎの儀式のあと、新しい大統領のスピーチがはじまる。
ゆっくりと話し、単語も分かりやすい。画面下には字幕も出る。おかげで内容がよく分かった。
会場にいるのは、ほとんどが新大統領の支持者だ。みなおそろいの赤いキャップをかぶり、思い思いのアメリカ国旗をモチーフにした服を着ている。

Th_img_1020

スピーチが進む。
いままでアメリカの主体はワシントンだった。ワシントンDCの少ない人たちが国の意志決定をしてきた。それをいま、あなたたちに返すことを私は約束する。
沸き上がる歓声。
これからはアメリカが第一だ。なぜ自国の富を、ほかの国にまっさきに分け与えないといけないのか?私はアメリカのしあわせを優先する。
こぶしを突き上げ、USAコールを繰り返す支持者たち。

ここにいると、自分の立ち位置を考えざるを得ない。
新大統領のスピーチは、もちろん保護主義的であり、一国主義であり、前大統領の国際協調路線とは意を異にする。
しかし、この大統領を支持する人たちは、アメリカの国際活動の割を食って自分たちが損をしていると、腹を立てている。
富が余っているならほかの国に分けるのもいいけど、自分たちが職を失い、世帯収入が下がり、あるいは収入の伸びから取り残され(アメリカはここ10年で物価も賃金も上がっている)、以前ならできた仕事も移民に取られている。なぜなのか?政治は俺たちを見捨てるのか?
彼らの叫びは、ぼくにはそう聞こえる。

Th_dscf4105


客席がひときわ大きな歓声を上げたのは、新大統領がアメリカ各地の名前を挙げたときだ。
ネブラスカ、デトロイト。どちらもラストベルト、つまりかつては工業地として繁栄し、いまは衰退した地域である。
新大統領が予想を覆して得票したのも、ラストベルト地帯だ。
これらの地域は衰退の波に呑まれ、貧困と失業にあえいでいる。かつてはアメリカの繁栄の象徴だったのに、いまは企業が工場を移転し、広がる廃工場の風景の中にたたずんでいる。
しかしそう言う人たちの不満の声は、ともすれば人種差別と揶揄される。
アメリカには色んな人種が混在している。中でも「中産階級未満の白人」は事情が特殊だ。
彼らは白人であるがゆえに、人種がらみの不満が言えない。不満を言えば、白人による差別ととらえられてしまう。
デトロイトなどは特に、かつては自動車工場で繁栄していたにも関わらず、いまは米国有数の犯罪都市だ。日本に自国の自動車産業がつぶされた、あるいは移民に仕事を奪われたと感じるのも致し方ない面がある。
新大統領は、この層の支持を得た。
ネブラスカやデトロイトのような地域、ここの人たちを自分は見捨てないと、彼は声を強めた。

ぼくは日本人で、アメリカに車を売っている国から来ている。
ぼくから見れば、むちゃくちゃな保護貿易をしかけたり、相手のおごりで国境に壁を作れと言ったり、特定の宗教の信者に背番号を義務づけるような公約はとても受け入れがたい。多くのリベラル層からも、新大統領はすこぶる評判が悪い。
しかし彼を支持する人たちの声なき声、彼の政策に怒りとともに大きくうなづく人々。星条旗を身にまとい、新大統領に熱い視線を投げかける人々。
そこにぼくは、アメリカの光と影を見たように思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年1月 2日 (月)

米国アマゾン返品UPS drop off

米国は返品大国である。レシートがあれば、たいがいのお店で返品が効くし、1,2回使った程度なら問題なく返品可能だ。
洋服店などに行くとレジのほかに返品専用のカウンターがあって、ひんぱんに返品の客が受け付けている。通販も同様で、最大手アマゾンも気軽に返品を受け付けている。
が、外国人には返品発送の手順がよく分からない。どこでどう発送すれば良いのか?送料はどれくらい?お金はどう返ってくる?
今回、米Amazonの返品してみた。

返品したブツは、Line 6のワイアレスシステムだ。
到着して気がついた。これはギター側の送信機(トランスミッター)だけだ。受信機がないとなんの役にも立たない。受信機の単品販売はしていないのになぜ送信機だけは単体で売っているのか、意味不明だが、よく調べずに購入したのは自分である。
さいわい、段ボールは開いたものの、中の商品には手をつけていない。十分に返品可能である。
Amazonのアカウントサービスのタブから返品を試みた。
アカウントサービスのタブからrefundを選択、返品の理由をチョイス。さらに進めると発送ラベルの印刷ページにたどり着いた。
それを印刷して切り貼りし、段ボールに貼り付ける。

切り貼りする箇所は3つ。
・宛名ラベルを切り取って発送する箱に張る。
・リチウム電池が入っている旨を記載したラベルも箱に張る。
・バーコードのついたラベルを、箱の中に入れる。
そしてこれをUPSに持って行く。

発送方法の追加説明
・ほかの追跡ラベルが箱に貼っていないことを確認。危険物以外の発送であれば、危険物入りのラベルをかんぜんにはがすか覆うかすること。
・発送ラベルをきちんと小包に貼ること。以前の発送ラベルは完全にはがすか覆うこと。
・小包をUPSに持って行く。最寄りのUPS所在地はwww.ups.comでdrop off ロケーションを見つける。
・Amazon返品には、品物をもともとの製造者のパッケージに入れる必要がある。もしもとの箱が使えないなら、輸送は損が生じないよう、クッションを入れた段ボールに入れること。

さて、問題はUPSの手続きだ。UPSのサイトで調べると、UPSの受付は有人営業所と無人受付の2種類があるらしいことが判明した。有人の営業所は数が少なく、無人受付はあちこちにある。
drop offというのは無人受付のことで、上記Amazonの文章は「無人受付でOK」と読める。
ここで疑問が発生。
・ラベルを貼って無人受付に置いてくればそれでいいのか?送料は?
・着払いか元払いか、どこでその指定を行うのか?

UPSのウェブサイトでアカウントも作った。web上でクレジットカード決済の上、元払いで発送できることも知った。しかし、これをやると、Amazonの発送ラベルのほかにもう一通、自分で作成した発送ラベルを作ってしまうことになる。ひとつの小包にラベルを2枚貼るのはどう考えても不自然だ。だいたい、Amazonからはそう言った指示はない。

こういうときに自分で余計な気を回すと、たいがい不正解になる。Amazonが「ラベルを印刷して箱に貼り、UPSのdrop offに持って行け」というのなら、そのとおりにするのが正解である。深読みは禁物だ。

さて、UPS無人受付に行ってみた。
建物と建物の狭いすき間に、その無人受付は存在した。
それは受付などというものではなく、単なる「ポスト」であった。


Img_0547

ポストのハンドルをつかんで手前に引き、発送物をスロットに入れる。ハンドルを戻すと、発送物が滑り落ちていく音がする。
割れ物あつかいとか上下指定とかは、いっさい効かない。封筒やはがきと同等のあつかいである。
これがアメリカの宅配便集荷か…。

Img_0551


Img_0550


投函してから二日後、Amazonからメールが届いた。荷物が無事到着したので、Amazonギフトカードで返金するという。
金額を確認すると、商品代金+税金。ありがたく頂戴しよう。

と言うわけで、アメリカ国内からのAmazonの返品手続きの紹介でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年11月 | トップページ | 2017年2月 »