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2015年11月14日 (土)

英語ができません

アメリカに来て1ヶ月が経った。つらすぎ。
日々がんばってはいるものの、日に日に気持ちが暗くなっていく。
すみません、当分グチっぽい、暗いブログになりそうです。

何がつらいって、まず英語がつらい。
渡米するまでは、英語にはそれなりに自信があった。なにせいままで旅行、出張は何回もしてきたし、それなりにどうにかなってきた。渡米前に受けていた英語のレッスンでも好評を得ていた。
が、アメリカに来たらゼンゼン自分の英語が通じない。
マシンガンのような高速イングリッシュ、オマケにitとかhimとかhaveとか、省略されがちな単語は連なって聞こえてさっぱり分からない。
たとえばHe has it. なんて言葉だったら「へはし」としか聞こえない。長いセンテンスは、デュワッとかヘヤッとしか聞こえない。ウルトラマンか。
自分の英語も、3回に2回は聞き返される。まあそれでも、自分から話しかける分にはいい。
問題は、こちらが問いかけたことに相手が返答しても、何を言っているのか分からない点である。したがって、会話が成り立たない。もちろん聞き返せば良いのだけれど、一回の会話で3回も4回も聞き返すのはさすがに気が引ける。で、会話に対してものすごく消極的になる。

文化の違いも大きい。アジア圏だったらまたちがう反応だろう。
以前にタイに行ったときは、タイの人と英語で会話した。こちらが聞き取れていないと感じたら、タイの方の多くはゆっくり言い直してくれたり、別の表現にしてくれたりした。
アメリカ人はちがう。ペラペラペラッっと超スピードで話しかけ、こちらが対応に困っていると、さらに超スピードで別の説明を追加してくる。
で、挙げ句の果てに「分かんない?キミは英語学校に行った方がいいよ」と言ってきたりする。相手に話が通じていないからゆっくり話そうとか分かりやすい表現にしようとか言う発想は、基本的にない。
(正確に言うと、そういう発想を持たない人の割合が多い。ぼくの周囲には)
相手の反応を見て配慮するのは、アジア圏の文化なのであろう。アメリカでは期待できない。

ちなみに、この「キミは英語学校に行った方がいいよ」はけっこう傷ついた。
そんなことは自分でも分かっているし、夜間のイングリッシュスクールには行くつもりだ。でも、そういうことを言う前にもうちょっとスピードを落としてくれてもいいじゃんと、すこしだけ、すこーしだけ心の片隅で思う。

職場の初日に、若手アメリカ人職員のランチに誘われた。飛び交う英語が理解できない。初日以降はお誘いがない。
まあ、アメリカ人だってカタコトの日本人をグループに入れるより、気心の知れた同志でランチをしている方が気が楽だろう。自分から飛び込んでいこうかとも思ったが、彼らの高速イングリッシュについて行けないのは目に見えている。

英語ができないとどうなるかというと、コミュニケーションに対して回避的になる。
職場で孤立する。基本的にアメリカ人はおしゃべり大好きで仕事中もしょっちゅうべらべらしゃべっているが、ぼくは輪に入れない。
仕方ない、とは思う。
思うんだけど、でも別のアメリカ人の新人が部署に挨拶まわりに来たときに、自分だけ紹介を飛ばされるというのはけっこうきついことである。
ぼくよりあとに来た若いアメリカ人社員は、すぐにまわりに溶け込んで、楽しそうにおしゃべりに興じている。
くらべても仕方ない。仕方ないのは分かっている。けど。

言葉で言わないと何も伝わらない国。その国で言葉が使えないという、とてつもない不自由さ。
負けてたまるか、と思う。
英語なんて、たかが道具だ。使えないなら使えるようになるまでだ。箸や自転車といっしょだ。
箸が使えないってだけで除け者にされてたまるか。評価されてたまるか。
壁があるなら、乗り越えるまでだ。

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コメント

辛いですよね。
移民の一世の人達って、みんなそうだったんでしょうね。
どう言っていいかわかりませんが、帰れる国があり、受け入れてくれるA.A.がありますから。
そうだ、A.A.の似た様な境遇をのりこえたスポンサーを探しましょう!

投稿: k | 2015年11月14日 (土) 18:45

kさん

おお、ありがとうです!
なかなかAAには行けていません。昼間アメリカ人と英語でやり取りして(あるいは英語のやり取りから疎外されて)、その後でまたAAで英語でやり取りをする気力が湧きません。色んなことが時間がかかります。
ミーティン学会場を探し、移動し、自己紹介をし、話をする。
日本では当たり前にできていたことが、ここではまったく思うように行かず、歯がゆいです。いまはただゆだねるばかりです。

投稿: カオル | 2015年11月15日 (日) 02:12

寂しくて、孤独で、仲間になれない疎外感。
この経験は将来とっても役に立つんでしょうね。
A.A.に行きだした頃、みんなが楽しそうにしてるのに誰も話し掛けてくれなかった事、ラウンドアップで1人でぽっんとしてた事、そんな経験があるから1人でいる人を見ると、何とか話し掛けて行きます。
だってA.A.に来てあんな俺の様な気持ちでいて欲しくないもんね。
I know haw you feel.

どこかで、だれかがカオルさんに言ってますよ。
I know haw you feel.

投稿: k | 2015年11月15日 (日) 21:48

カオルさん

言葉が通じないのは辛いものがありますね。
周りに人がいないのではなく、いるのに話せないのは
もどかしいですよね。

そうそう、11月ということで14年のsobrietyおめでとうございます。これからも仲間とプログラムと供に!!

今後ともよろしくお願いしま~す!!

投稿: とおる | 2015年11月16日 (月) 19:18

とおるさん

まわりは決して悪気はないので、コミュニケーションの取り方なんですよね。言葉の壁と同じくらい、文化の壁のちがいもあります。異文化に適応するのはやっぱりたいへんです。でもまあ、得がたい経験と言えば経験です。
バースデイのこと、ありがとう!
14年になりました。成長できたような気もするし、あんまり変わっていない気もします。
アメリカでしんどい思いをしても飲まずにいられるのは、AAのおかげですよホント。

投稿: カオル | 2015年11月17日 (火) 20:50

こんにちは!
最近ブログを知って過去分熟読しているものです。
関係ない話で申し訳ありませんが、キングのドクタースリープはすでにお読みでしょうか?
刊行された頃の過去ログを探せば…と思いつつ未だなので、思わずコメントしてしまいました。言葉が通じないのは大変と思います、、おつかれさまです!

投稿: 花と太陽と雨とわたし | 2015年11月24日 (火) 10:00

こんにちは!
シャイニングの続編でしたね。邦訳はもう出版されたんでしたっけ?残念ながら未読です。原文で読めればいちばんいいんですが。。。
最近は英語に疲れ切っていて、家に帰ってから英語の文章を読む気力がありません。いずれ元気になったら読んでみますね。ありがとう!

投稿: カオル | 2015年11月24日 (火) 11:46

お疲れのところすいませんでした!
日本語版で読みましたがAA出てきまくりでー!本音で語り合い、笑えないジョークの応酬もするアメリカン~って感じでミーティングやってる描写がおもしろかったです。
でもカオルさんの体験談のほうが、さらに興味深くてブログ見つけて嬉しかったです!元気なときにぜひとも。

投稿: 花と太陽と雨とわたし | 2015年11月24日 (火) 22:22

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