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2015年9月21日 (月)

出向と送別会

先日、職場の送別会があった。
何を隠そう、ぼくの送別会である。まさかこの職場で、自分の送別会が開かれるとは夢にも思わなかった。ビックリである。
別勤務地に出向が決まった。昨年から何度か浮かんでは消えていた話なのであまり本気にしていなかったんだけど、いちど決まったらあれよあれよという間に話が進み、気がついたら送別会。
ううむー。心の準備が…

心の準備はともかく、現在やりかけの仕事の完了、継続中の案件の引き継ぎ、先方での新業務の準備、先方とのやり取り、職場の物品整理、自宅の引っ越し準備、電気ガス水道ネット郵便の諸手続など、やることが目白押しである。9月中旬から休暇を取って引っ越し態勢に入っているけど、まったく余裕なし。
あああ。しかし最近「余裕なし」ってフレーズが多いな。

こういうときにこそ感情のソブラエティを保たねば。山ほどの引っ越しタスクの中にあっては厳しいけれど、でもイライラすると余計にパフォーマンスが落ちちゃうもんね。

出向先はミーティングもたくさん開かれていそうだし、AA的な面ではあまり心配していない。
せっかくなじんだ現在地の仲間との別れはさびしい。でも、また戻ってくるもんね。

で、送別会。
しばらく前に「歓送迎会での酒の断り方」でコメントをいただいたが、今回はとくに誰からも酒を勧められることはなく、つつがなく終了した。
まあ、「飲まない人」イメージが定着すれば、そりゃ勧めないよね。
気がつけば部署内には若手が大勢いる。若手は酒を飲まない。飲んでもせいぜいビールをコップで1,2杯だ。
唖然とするほど少ししか飲まない。呂律が回らなくなるほど飲む人は誰もいない。
そんなちょっとしか飲まないんだったらいっそ断酒しちゃえば、と思ったりするのはやっぱりアル中目線が抜けないせいなんでしょうね。ふつうの人はこれっぽっちしか飲まないんだと、あらためて驚いたッス。

3年半の現職場、いろいろあったけど楽しかった。
数年後にはまた戻ってくるとは言え、やっぱり別れはさびしい。今のうちに、ここの風景を目に焼き付けておくんだ。

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2015年9月 1日 (火)

オーストラリアの古いホテル

もう先週のことになるけれど、オーストラリア最終日の夜。
ぼくたちが泊まっていたのはシドニーの古いホテルだ。よく言えば重厚、悪く言えば陰鬱。
ロビーの分厚いじゅうたんはあらゆる音響を吸い取ってしんとしているし、エレベーターは古い真ちゅうのボタンで、押してもなかなかやってこない。
でも歴史あるホテルらしく、部屋は広くて調度品も重々しいものだった。

最終日の夜。ぼくはひどい寒気に襲われて目が覚めた。
時計に目をやる。午前3時。ひどく寒い。
エアコンを付けっぱなしにしたせいかも知れない。日本、海外問わず、ホテルのエアコンはどうしてこうもややこしいんだろう。うまく操作できたためしがない。
エアコンを切る努力ははなからあきらめて、布団を引き上げて身体を温めようとする。
そのとき。

どこからか子どもの笑い声が聞こえる。
押し殺したような、低くくぐもった笑い声。なにかをささやきあってはクスクスと笑い合う声。
もちろん、シドニーのど真ん中、世界中から観光客が泊まりに来るホテルだ。夜中に子ども連れがチェックインしてもおかしくはない。
そのうち、ドアノブを回すカチャッと言う音が聞こえた。
家族連れが夜中に到着して部屋に入ったのだろう。
ぼくはドアに背中を向けて布団を引き上げる。きょうは日本に帰る日だ。少しでも眠っておかなくっちゃ。
うまく行けばあと3時間ぐらい眠れるかも知れない。
でも、ドアノブを回す音は止まらない。
カチャッ、カチャ。カチャッ、カチャッ、カチャ。
何度もドアノブを回す音。そしてクスクスという笑い声。
向かいの部屋だろうか。いくら旅行だからと言え、夜中にはしゃいでいないで早く寝たらいいのに。

そこでぼくは気がつく。
音の聞こえる方向に、客室はない。
そのホテルは複雑な構造で、曲がりくねった回廊に沿って部屋が並んでいる。ぼくたちの部屋は角部屋だ。
ドアの向こうには、ほかに客室はない。なかったはず。
だとしたら。
音が聞こえる方向には、ぼくの部屋のドアしかない。

寝返りを打てばドアは見える。
ドアノブも容易に見えるはずだ。
でもぼくは寝返りを打てない。どうしてもドアの方を見る気になれない。
ひどい寒さは続いている。
考えてみれば、足音もスーツケースを転がす音も聞こえないのに、どうして子どものくすくす声だけが聞こえてくるんだろう。

ぼくは目を閉じて布団をかぶる。朝が来るのを待つ。隣では妻が寝息を立てている。布団をかぶって、ぎゅっと目を閉じ、いっさいの音が聞こえないように、朝を待つ。

てなことで、はい。
見事に風邪を引きました。
ふしぎなこともあるものですね。

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