シアトルのAAその3
ジョン・Wとともにリカバリー・カフェに戻る。
16時のミーティングは、いつも30名近くのメンバーが集まるという。果たして、会場に戻ったときは10名以上の仲間が集まっていた。
人種、年齢、性別みなさまざまだが、総じて若い印象だ。日本のAAが40代、50代が中心なのに対し、シアトルのAAは平均年齢が10歳若い印象を持った。ジョン・Wにせよおそらく30代後半から40代はじめといったところだろう。
ミーティングが始まる。今度はジョンではなく、別の仲間がセクレタリだ。さっきまでミーティングを取り仕切っていたジョンは、いまは片隅の椅子に座って一メンバーに徹している。
セクレタリが序文を読み上げる。3章、5章の抜き書き(日本のハンドブックと同じ箇所だ)をフロアメンバーが読む。
シアトル以外から来たメンバーは?
ぼくともう1人が手を上げ、自己紹介をする。日本から来たというと拍手と歓声が沸き上がる。
ソーバーが短い仲間は?
次々と手が上がる。きょうで48時間です。拍手と歓声。きょうで1週間です。拍手。きょうで20日です。拍手。
日本だとソーバーの浅いメンバーはもじもじして手を上げないことが多い。でもさすが米国、自己主張の国。とぎれなく手が上がる。
仲間の話が始まる。
一人が話し終えると、語尾を引き取るように次のメンバーが話し始める。あうんの呼吸と言ったところだ。司会が次のスピーチをうながすことはほとんどない。
内容によっては、みなが話の途中で拍手したり、口笛を鳴らしたり、とにかくポジティブな感情表現が豊かだ。話の内容も明るい話題が多い。もちろん悲惨な内容だってあるんだけど、明るいノリで話すために愁嘆場の雰囲気は皆無だ。この辺、割と暗いノリが多い日本のAAとは大いにちがう部分である。
肝心のスピーチの内容は、聞き取れないことが多くてよく分からなかった。まだまだ英語力が低いのを痛感する。まあ、日本のAAミーティングでも筋がよく分からない話は多いんだけどね。
ぼくも途中で話をする。棚卸しの話と、世界中に自分の行くべきミーティングがあるってのはすばらしいって話。たどたどしい英語だったけど、大きな拍手と喝采を得た。うれしいです。
ミーティングの最後、全員でハンドチェーン。平安の祈りと、Keep Coming Back. It Works, If You Work It. だったかな、を唱える。
献金バスケットに載ったスポンサー一覧表が回ってくるのもさっきと同じ。スポンシー募集者の挙手を募るのも同じ。
日本からのツーリストと言うことでミーティング後にいろいろ話しかけられるかなと思ったが、終了後はみな「じゃ」って感じでさっさと引き上げていった。この辺は日本と同じ。
日本との違いは、全体にダイナミックだと言うこと。
うぉーとかいぇーとか拍手とか、リアクションが豊かだ。全員が黙って下を向いているなんてことはない。また、スピーチの時は大きな声ではっきりと話すメンバーが多い。ソーバーが1ヶ月未満の仲間でもそうだ。国民性か、はたまたAAのスピリットが行き渡っているせいか。
逆に言えば「壊れていない」感じのメンバーが多い。日本だとニューカマーは「ああ、この人はまだお酒が止まったばかりで頭がぼーっとしているんだろうな」って印象を持つことが多いが、シアトルではソーバーの浅い仲間でもそういう印象はなかった。なぜなんだろう?
もうひとつは、スポンサーシップの徹底ぶり。ニューカマーにはこれでもかとスポンサーの案内がある。
壁にスポンサー希望者リストが貼られ、ミーティング半ばでリストがバスケットに入れて回され、最後にスポンシー募集者の挙手があり、セクレタリからニューカマーに個別に声かけがある。
見方を変えれば12番目のステップという目的意識がはっきりしている。
総じて、日本のAAにありがちな「遠慮がち」というムードはなかった。多分に国民性とかアメリカ人ノリの影響も大きいんだろうけど。
でもきっと、「AAは暗いから行きたくない」と言われることはないだろうな。あの明るいノリだったら。
シアトルのAA、あと1回だけ続く。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント