実録!これが東京マラソンの収容バス車内だ!
東京マラソンは完走率97%を誇る、初心者にもやさしいフルマラソンだ。
が、誰にでも不調はある。不幸にして収容バスに乗せられ、リタイアする参加者も多い。
いままで明かされることのなかった収容バスの車内を今回は紹介したい。
ぼくは26キロ地点でリタイアし、25キロ地点付近の応急所でリタイアを告げた。
リタイアをするのは簡単。付近のスタッフに「リタイアです」と告げればいい。
「あ、そうですか。お疲れさまでした」と返事され、通り一本裏手に案内される。
そこにははとバスの黄色いバスが2,3台待機しており、その一台に案内された。
バスに乗るとき、ミネラルウォーター(東京水とかなんとか言うヤツ)を一本、それに毛布を渡される。
毛布は要らないかな、と思ったが受け取っておいて正解だった。
待っている内に身体がどんどん冷えてくるのだ。
毛布は受け取ること。来年東京マラソンリタイア予定者は肝に銘じておくように。
ぼくがバスに乗った時点では、車内はガラガラ。
毛布にくるまりじっと目を閉じ、しばし休養を取る。そのうちバスが発車するだろうと思っていたが、さっぱり動き出す様子はない。
どうも、関門が閉まるまでは発車しないようだ。ひまである。
そうこうしているうちにどんどん車内に人が入ってくる。先輩(ぼく)は新入りにちらっと目をやるがすぐに目を伏せる。みな無言だ。車内を気まずい沈黙が満たす。
車内前方にはTVが設置され、あろうことか東京マラソンの実況番組を放映している。
次々とビッグサイトにゴールするランナーたちの笑顔、笑顔。それを無言で見守るわれわれ敗残の兵。
あのう。これ、なんかの罰ゲームなんですか。
気まずい。あまりに気まずい沈黙。
それに、ひどく寒い。もともとランニングウェアで薄着の上、冷えた汗で体温が奪われる。毛布にくるまっていても寒い。
ようやく関門が閉まり、脱落者たちがバスに乗り込んでくる。車内はいつの間にか満員になり、補助椅子も必要になる。
喚問終了後20分ほどで、やっとバスが出発。
ほとんど渋滞もなく首都高を通り、15分ほどでビッグサイト裏に到着。よく分からない場所で下ろされ、係員にバナナとミカンとアミノバリューの入った袋を渡される。
裏口からこそこそと手荷物引換所に入り、係員から手荷物を受取る。ここからあとは通常のゴール者といっしょだ。着替えを済ませ、家族との待ち合わせポイントに向かう。
つらいのは、裏手から手荷物引換所に入ったあたりから完走者といっしょになること。
フィニッシャーズタオルをまとい、完走メダルを首から提げた人たちと、下を向いて手荷物引換所に向かうわれわれ。
激しい。あまりにも激しすぎる落差である。
敗残者にもフィニッシャーズタオルと完走メダルをよこせばいいのに、と、不合理なことを考えてしまう。
はとバスの車内は非常に快適でした。シートはふかふかだし、先ほどまで足を引きずっていたのがウソのように楽ちん。が、車内の気まずさが半端ない。
だいじょうぶ。次回から完走すればいいだけの話である。
だいじょうぶだいじょうぶ。は、は、は…
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コメント
転んでも何かをモノにして、起ち上がるその姿!
感動した‼︎
きっと次は•••
投稿: k | 2014年3月 8日 (土) 15:25
kさん
なんと言いましょうか、温かい心づかいがかえってなまくら刀のようにざくざくと心を刻んでくれる、そんな収容バスでした。
東京マラソンのテレビ中継を車内放送するのはやめて欲しいです(>_<)
投稿: カオル | 2014年3月 8日 (土) 16:32