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2014年1月 8日 (水)

フジロックと荒吐がフェス競争時代を生き残る理由

ロックフェスが流行になって久しい。
CDの売り上げが下降し続ける中、毎年数万人が押し寄せるロックフェスは音楽業界の目玉商品だ。
ファンにとっても多数のバンドが一気に見られるチャンスはうれしいし、バンドや主催者側にとっても大集客イベントはうれしい。新しいファンも獲得できる。
音楽業界不況と言われる中で、ロックフェスだけが活況を呈している。去年はTOKYO ROCKSなる「事件」も発生した。
今年もまた、新しいロックフェスが誕生する。

今後、登場したすべてのフェスが右肩上がりに延びていくんだろうか?ぼくはそうは思わない。
市場原理に従って、これから淘汰が始まる。
つまらないフェス、特徴のないフェスはつぶれ、ファンを惹きつけるサムシングを持つフェスだけが生き残っていくと思う。
例えば、サマソニ。
常に最強のラインナップを投入してくる。ラップ、メタル、テクノ、アイドル、色物、DJ、なんでもありだ。キョンキョンとももクロとメタリカが見られるフェスって何だよと思うが、無節操なのがサマソニだ。
ラインナップ、来場者数とも国内最大級のメガフェスであることが、サマソニのサムシングでありアイデンティティなのである。
ロックインジャパンフェス、カウントダウンジャパンフェスも、国内アーティスト版サマソニと言えるだろう。集客を見込めそうなバンドをこれでもかとばかりに大量投入する、大物量作戦だ。

それはそれで良いと思う。
逆に言えば、サマソニとロックインジャパン、カウントダウンジャパンがあれば、同じようなフェスはもう必要ないのである。
カウントダウンジャパンフェスは、通し券が約40,000円。サマソニ28,000円。交通費や飲食費、宿泊費を加えるとさらに数万円の追加である。しょっちゅう行ける金額ではない。社会人なら休日も確保しなくてはいけない。
年に1回、せいぜい2回参加というのが、ロックフェスファンの平均的な姿だろう。
ではその1回ないし2回をどのフェスに当てるか。

自分の場合を考えてみる。
一昨年、カウントダウンジャパンに一日だけ参加した。
楽しかった反面、若手のバンドにほとんど魅力を感じなかった。耳をリフレッシュするため、名前を知らない若手バンドをいくつも見て回ったが、まったく記憶に残らなかった。
一言で言えば、類型的なのである。判で押したように同じサウンド、同じルックスのバンドばかり。数年で消えていくのは火を見るより明らかだ。
ラインナップが良かったらまた来るけど、ミーハー人気の若手バンドばかりならもう来る必要はない。フェス自体には取り立てて魅力がない。それが正直な感想である。

大物量作戦フェスは、ラインナップが勝負だ。そしてめまぐるしく変わり続ける音楽トレンドに、多くのファンはついていけない。年齢とともに若手アーティストの動向について行けなくなり、音楽雑誌を手に取る回数も減っていく。ファンも歳を取る。ラインナップが見知らぬ若手ばかりになったとき、フェスを卒業する。そんなところだろうか。

一方でそれ自体が魅力を持っているフェスもある。
例えばフジロック。ラインナップの魅力と同じかそれ以上に、フェス自体を楽しみに来るリピーターが多い。川で遊び、キャンプをし、オブジェを楽しみ、ストーンサークルで打楽器演奏に興じる。
フジロックという空間が目的で、出演アーティストはその重要な構成要素ではあるが一部分に過ぎない。
国内フェスなら荒吐。
東北の郷土料理に舌鼓をうち、キャンプファイアーライブの幻想的な雰囲気に酔い、夢のセッションを楽しむ。
どちらのフェスにも共通しているのは、オーガナイザーに哲学がある点だ。
売れ線ラインナップをそろえるよりも、フジならフジの、荒吐なら荒吐のアイデンティティを守り、育てるのが第一義のように感じられる。
ファンも安心して参加できる。どんなに若手バンドが移り変わっても関係ない。フジを、荒吐を楽しみに行くんだから。
そして両フェスとも、哲学を感じるハイセンスなラインナップをそろえている。
ギターパンダが見れる。ミチロウやタマの知久氏が見れる。ヒカシューが、小坂忠が、友部正人が見れる。集客度外視の、アーティスト性の高いラインナップだ。
もちろん新しい元気の良いアーティストも出演する。
クオリティ重視。
古い世代のファンには若手を紹介し、若いファンにはフロンティア世代の質の高いアーティストを紹介する。両フェスともそんな意図が感じられる。
集客や売り上げ優先ではなく、質の高い、オーガナイザーの哲学に沿った運営であると感じられる。
哲学を持ったオーガナイザーが頭に描く「オレだったらこんなフェスに行きたい」というアイディアを、具現化している。そこにファンはあこがれ、共感する。

少子高齢化の時代。経済低成長で所得が伸び悩む時代。
そういう時代において、浮動層の若者狙いのフェスはいずれ伸び悩んでいくだろう。
十年、二十年、いや三十年。フェス自体を長く愛してくれるファンをどれだけ獲得できるかが、今後の明暗を分けるだろう。
フジと荒吐が生き残る理由は、そこなんです。

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コメント

 今年のロックインジャパンって2週に分けるとか…
にしても本当に増えましたよね。フジロックとサマソニにジャパンに荒吐ぐらいまでしか自分は把握してませんが(笑)あと風とロック!

 四国でモンスターバッシュってフェスがあったり、色々増えてますよね。

 あれもこれも見たいと思うのですが、最終的にあきらめるというのが昨今の私です。値段も高いから、だったらその半分の値段で好きなアーティストだけでいいかな~と思ってしまっています。

 そして、誠に勝手ですが、フェスとAAの相性が悪い感じが...なぜか行きたいときにAAで行かなきゃいけないものと同じ日になるという確率が高いです(>_<)AAのことも考えてフェスをやってほしいもんですよ(笑)
 と言いつつホームグループのOSMをロックインジャパンにかぶせてしまいやれやれと思いながら過ごしてます。

 カオルさんのフェスの話面白いのでぜひこれからも!

投稿: とおる | 2014年1月 8日 (水) 08:56

とおるさん

ロックインジャパンフェスのHPを見たら、たしかに2週に別れていました。休みがぶつかりがちな方に配慮して、ということなんでしょうね。あるいは2週に分けることで動員増、収益増を見込んでいるのかも知れません。
ぼくが行ってみたいフェスはライジングサンと青森の夏の魔物です。
ですがとおるさんと同じで、値段も高いし日程を確保するのもたいへんなので、実現は難しそう。
AAイベントとぶつかる率が高いのは、何とも仕方ないです。みんなが参加しやすい日程を考えるとどうしても重複しちゃうんですよ。
今年は荒吐に行きたいんですが、連休前夜の大渋滞を抜けて神奈川から山形に行くのはたいへんそう。思案中です。
まだまだフェス話は続きます。よろしければおつきあいください^^;

投稿: カオル | 2014年1月 8日 (水) 09:33

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