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2013年10月 3日 (木)

なぜ酒をやめるのか?

節酒か断酒かという話を最近よく聞く。
医学の進歩とともに、断酒以外の選択肢も現実的な可能性として取り上げられるようになってきたようだ。
ぼくはAAメンバーだけど、禁酒主義者じゃない。また、依存症の診断を受けた人間はすべからく断酒を目指さねばならないと言うつもりもない。
節酒で行ける人はそれで行けばいいし、断酒が必要だと思う人は断酒を選べばいいと思う。

この話を聞くとき、ぼくはいつも「自分はなぜ酒をやめようと思ったのか」「なぜいま酒をやめているのか」を考える。考えないわけにはいかない。
「酒をやめなければ死ぬ」という周囲の声は、ぼくが酒を手放す理由にはならなかった。
死にたい、人生を生きるのが苦痛でたまらないと考えている人間が「やめなきゃ死ぬ」と言われても、「そりゃ結構」としか思えなかった。

ぼくが酒をやめようと思ったのは、まず最初にはアルコール専門クリニックに行かなければクビになるからだった。アルコールで問題を起こしてクビになるのは避けたかった。だからクリニックに行った。でも「酒をやめてなんになる」という気持ちがどこかにあった。
そもそも、酒をやめてしらふで生きるなんて、まぶし過ぎてできそうになかった。ぼくは真っ暗なアパートの一室でアルコールの闇におぼれているのが好きだった。そこから出てどう生きろというのか?

で、AAに行かされた。
AAに行ったら楽しかった。かわいい女の子がいて陽気な兄貴がいた。自分の知らない危険な世界の住人がいてスリリングな話が聞けた。何よりもミーティングに行くだけで褒めてもらえた。
「すごいね」「今週もたくさんミーティングに来たね」「カオルさんはすごいよ」
ミーティングに行くだけで褒めてもらえるんだから、ほしがり屋のぼくが行かないわけがない。
で、行き続けるうちにAAに行くのが楽しくなった。新しい友人たちはみな魅力的で、いっしょにいて楽しかった。新しい生き方とはこういうものか、と思えるようになった。

振り返ると、はっきりとした断酒の動機はなかったように思う。もちそんその時々で「酒はやめます」「がんばります」みたいなことは言っていた。言っていたけど、どこか周囲の期待する発言をしていただけのようにも思う。
最初は職場の上司やクリニックの医師に促されて仕方なく、そして気がついたらAAメンバーとして行動し、酒をやめる気持ちになっていた。そんな気がする。

何度も再飲酒したけれど、AAに行き続けていくうちに次第に酒が止まっていった。
「飲んだら死ぬ」ではなく「飲まない仲間といるのが楽しい」のが、ぼくが酒をやめる動機だった。
AAミーティングに行き、メンバーとして行動しているうちに、考えが変わっていった。ただただ光の指す方へ歩いて行ったら変化が訪れた。

変化の鍵は行動だった。
考えが変わったから行動したんじゃなくて、行動したら考えが変わった。
そして、酒をやめていくうちに、しらふの生き方がとても好きになった。

なぜ酒をやめるのか?答えが見つからなくてもだいじょうぶ。
最初からやめる気に満ちあふれている人なんて滅多にいないんだから。
行動すれば答えは見つかる。節酒か断酒か悩んでいるヒマがあったら、いろんな場所に出かけていろんな人と話をしてみればいい。

しかしいま振り返ると、当時の仲間たちは正しく「回復のよろこび」を伝えてくれていたんだな。感謝です。

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コメント

全く、ぼくと同じですね…

投稿: アポ | 2013年10月 4日 (金) 09:57

AAにいる私たちはスピリチュアルな原理に従っている。最初はやむを得ず、そして最終的にはそれに従うことによってもたらされる生き方が好きだから従っている。(12&12, p.237)これを思い出します。

投稿: ひいらぎ | 2013年10月 4日 (金) 10:29

 自分は好き嫌いを言ってられる立場の人間じゃないんだろうなと思ってましたね。受け入れるのに時間はかかりましたが(^_^;)
 あとは高校時代に夜回り先生の話でダルク等に行かない薬物依存症は死ぬという話を覚えていて、アルコール依存症も行かなければ死ぬと漠然と思った気がします。

投稿: とおる | 2013年10月 4日 (金) 22:56

>アポさん

まさに「共通する問題」ですよね。問題を持っていたこと、そしてそれを解決する経験を共有することで、新しい仲間の手助けをしていくっていう。

>ひいらぎさん

そうそう、まさにそのとおり!最初は嫌々でしたけど、最終的にはこの生き方が好きになりました。まさに恵みです。
逆に言えば、新しい仲間を引きつけるには回復の魅力がないと難しいです。

>とおるくん

AAにきっかけはみんな、わりと漠然としたものだと思うんですよ。それでいいと思うんです。漠然とAAに来て、なんだか知らないけど仲間とふれあっているうちに気がついたら回復の道を歩いている。そんなんでいいんじゃないですかね。
ぼくがAAに来つづけた理由はエントリーに書いたとおりですが、そのうち「かわいい女の子とがいた」のが最大の要因だったりしましたもん
( ̄ー+ ̄)どや

投稿: カオル | 2013年10月 5日 (土) 00:31

私はGAです。私も繋がった理由なんてありませんでした。ただ、たまたま、繋がりました。繋がっていなかったとしたらゾッとします。

投稿: 仁 | 2015年11月28日 (土) 21:53

仁さん

古いエントリーにもかかわらず、コメントありがとうございます。
われわれのように、「動機が固まったら行動する」よりも「行動してみたら動機ができてきた」というパターンの人は、案外多いような気がします。
「飲んだら死ぬ」という冷たい正論では人は変わらない気がするんですよねー。

投稿: カオル | 2015年11月29日 (日) 12:55

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