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2013年8月13日 (火)

DJ浅野忠信は漢気あふれるミニマルテクノ

フジロック3日目、DJ浅野忠信を見てきた。
正直あんまり興味はなかったんだけど、妻がどうしても生で浅野を見たいという希望があったので行ってみた。
メイン会場から徒歩15分でドラゴンドラ乗り場、そこからロープウェイでで20分。会場のエアブリーズに到着。
いました。浅野忠信。

Cimg0953

テレビで見るのと同じ顔している。当たり前か。
さて。どんなサウンドを鳴らしているのか。
ぼくは、PCDJでターンテーブル型のコントローラ、曲は今どきのダブステップだろうと予想していた。コントローラはNaitive InstrumentsのS4あたりか。
が。
派手な音は聞こえてこない。ひたすらドラムとベースの反復。ワンショットのSEすら鳴らない。
こ、これは・・・ミニマルテクノ。
テクノの中でももっとも硬派な、言い換えればジミなジャンルである。ひたすら短いドラムとベースの反復が行われ、フレーズがすこーしずつ形を変えていく。
いわば音の「揺らぎ」を楽しむツウなジャンルである。FEED MEなんかの派手なダブステップサウンドとは対極に位置する。
取り囲む浅野ファンらしき女性たちも盛り上がれない。小刻みに体を揺らすくらい。
ひたすら手元に視線を落とし、ほとんど顔を上げないDJ浅野。
その視線の先を見る。

こ・・・これは・・・ッ!
YAMAHA QY100!
ほかに機材は見当たらない。
浅野はYAMAHA QY100イッコでミニマルテクノを鳴らしているのである。

Cimg0957

写真では分かりづらいが、PioneerのCDJの向こうに見えるのはまぎれもないYAMAHA QY100である。
解説しよう。
QY100は、今から10年以上前に発売された、ふるーい音源内蔵シーケンサーである。
小型でハンディ、電池駆動。どこにでも持ち歩けて曲を作れるのがウリだった。音源もドラム、ベース、ディストーションギターなど、それなりに充実していた。
が、時は電子楽器進歩のまっただ中。ちまちまとジミなモノクロ液晶にフレーズを打ち込むQY100の制作スタイルは面倒くさかった。鍵盤も1オクターブしかない。
そして音源。電子楽器の悲しさ、時代が過ぎればどうしても古くさくなってしまう。とくにストリングス、ホーン系はチープだった。鍵盤がベロシティ対応していないのでよけいに平板な印象を与える。
あとで細かくベロシティや発音タイミングを調整すればいいんだろうけど、それも面倒くさい。
ひとことで言えば、スーパーの店内で流れるインスト音楽の印象である。
ぼくも以前所有していた。けどDAWに比べてあまりに面倒くさいので、一通り触っただけでヤフオクで流してしまった。すみません。

そのQY100を流麗に操り、ミニマルテクノを奏でるDJ浅野忠信。
ドラムとベースだけの1〜2小節の基本フレーズを、リアルタイムでいじっている。それだけと言えばそれだけなんだけど、ちゃんとツボにかなった、いい感じのテクノである。
やるな浅野!
ときどきリバーブが深くなったりするので手元をじっと見ていたけど、QY100以外に機材は何もない。内蔵エフェクトをいじっているようだ。
外部エフェクトなし。PCDJなし。トラブったりおかしな操作をすれば一瞬でもろバレの一発勝負。
うーん。すばらしい。あっぱれである。

小一時間ほどのDJを終え、客に軽く会釈すると、QY100本体と電源アダプタを袋に入れて引き上げる浅野忠信でありました。
しかし伏せ目がちなひとだった。ほとんど顔を上げなかった。ふだんからあんなに伏せ目がちなんだろうか。信号を渡るときとか大丈夫なんだろうか。
いろいろ考えさせられるステージでした。

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コメント

引き込まれました。そして…
信号を渡るときとか大丈夫なんだろうか、でずっこけました。

かっこいいね(^^)/

投稿: としちゃん | 2013年8月18日 (日) 11:41

としちゃん

浅野のDJはかっこよかったです。
ただ、ずーっと下を向いているんですよね。終わった後も下を向いて片付けをして、すぐに帰っちゃいました。
対人恐怖症なのかしら。就職面接を受けたら一発で不合格になるタイプです。心配になりました。

投稿: カオル | 2013年8月18日 (日) 14:31

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