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2013年6月10日 (月)

賛美歌口ずさんでバー破壊。キャリー・ネイション

アルコール依存症界隈のひとっておもしろい。本人、家族、関係者、この業界に身を置くひとは何とも言えない個性を持っている。
きょうはそのひとり、キャリー・ネイションさんを紹介したい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/キャリー・ネイション

キャリー・A・ネイション(Carrie A. Nation、1846年11月25日 - 1911年6月9日)は、前禁酒法時代アメリカの禁酒主義活動家の一人。特に、ヴァンダリズム(破壊行為)を以って自らの見解を広めたことで記憶されている。ネイションは幾度となく、アルコール飲料を販売している施設に侵入してはその内部をまさかりで叩き壊したのである。

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キャリーは1846年、ケンタッキー州で生まれた。家庭は貧しかった上、家族にはこころの病を持つものが多かったという。母親は妄想があった。キャリー自身も身体が弱かった。その割には長じて巨躯の持ち主となりますが。
21歳で戦争帰りの医師と結婚する。が、運が悪かった。この夫は重度のアルコール依存症。結婚してわずか10ヶ月ほどで、依存症が原因で離婚する。離婚から1年も経たないうちに夫はアルコールが原因で死亡。これがキャリーが禁酒運動に身を投じていく原体験になったようだ。
この辺、母を巨人に喰われた「進撃の巨人」主人公みたいですね。

二度目の結婚後、生活が安定してくるとキャリーは禁酒活動を積極的に行うようになる。
彼女のやり方は、初めは単なる抗議だったがエスカレートしてゆき、バーテンダーに「お早うさん、魂の壊し屋さん」のような当てつけがましい挨拶をしたり、酒場の常連客に向かって手回しオルガンで賛美歌を奏でるようになった。

というからすごい。
1900年、53歳の彼女は神からの啓示を得る。天国の幻像という形で神からの答えを受信したそうだ。啓示に従い、彼女はカイオワに出かけてバーを破壊する。

天啓に従い、ネイションは幾つか石塊を集めて(彼女はそれらを「粉砕用具」と呼んだ)ドブソンの酒場へ赴いた。彼女は「飲んだくれの末路から皆さんを救うために参りました」と宣言し、石塊を取り出すと酒場の在庫の破壊を開始した。彼女が同様の方法でカイオワ郡の酒場を更に二つ破壊した後、竜巻がカンザス州東部を襲った。彼女はこれを、自分の行動に対する神の是認の印だと見なした。

酒場を2軒破壊しただけでもすごいが、そのあと竜巻が街を襲う。ハリウッド映画も真っ青のスペクタクルシーンである。こりゃ神さまの啓示だと思うわな、たしかに。
天啓を得たキャリーは、さらに再婚した夫のアイディアで「まさかり」を装備し(アイディア出すなってw)、片手にまさかり、もう片方の手に聖書といういでたちでバーの破壊活動を続けていく。

一人で(もしくは賛美歌を歌う女性たちを伴って)彼女はバーに向かって行進してゆき、まさかりで備品や在庫を粉砕しながら歌と祈りを捧げた。1900年から1910年の間で、彼女は破壊行為(彼女はそれを"hatchetations"と呼ぶようになっていた。)により30回ほど逮捕されている。ネイションは巡業講演で得た報酬や土産用まさかりの売り上げ金で罰金を支払った。

hatchetationsは、日本語にすると「まさかりズム」ってところでしょうか。
しかし土産用まさかりってなんだよw
よく考えると巡業講演が組めたりみやげ物が売れたりするんだから、それなりに厚い支持層が存在したことがうかがえる。
しかし、1900年から1910年の間って、キャリーさん54歳から60歳過ぎまでだよ。すごいね。この歳にしてこの過激な活動。60歳でまさかり振りまわすおばさん。

さらにこちらのブログに書いてあるとおり、キャリーはこの過激な活動によってアメリカ中の人気者になる。
キャリーが破壊したバーが「キャリー、ここで暴れる」と宣伝したり、「キャリー・ネイション・ウイスキー」と名付けたウイスキーが発売されたり。
キャリーが街にやって来るとなるとビール会社が楽隊を雇ってキャリーのテーマを演奏してパレードしたって言うんだから、もうなにがなんだか分からない。まさにトリックスター。ハリウッド映画に代表されるように、アメリカという国は爆発とか大破壊に賛辞を贈るのが国是のようである。
キャリーは61歳で講演中に倒れて亡くなった。ほぼ最晩年まで破壊活動はつづいたようである。

身長180センチ、体重80キロ。
片手にまさかり、片手に聖書。賛美歌を歌う聖歌隊を従え次々と酒場を破壊する巨体おばさん。
聖書の言葉を口にするたびにまさかりが振り下ろされ、次々と粉砕される酒瓶。賛美歌をバックに粉塵に沈む酒場。夕日を浴びながらそれを見下ろすキャリーと聖歌隊。
アメリカってスケールがでかいね。
こういうトリックスターが日本にも一人くらいいたらおもしろそうだけど、身近にいたらメーワクかも。

そういえばアニメで似たようなキャラがいましたね。
エイメン!

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コメント

ははは、笑いました。
凄いおばさんですね(笑)

投稿: アポ | 2013年6月10日 (月) 22:16

 写真ではまるでおっさん...おばさんだったなんて(笑)AA記念日にこのおばさん。カヲルさん、素敵です(笑)

投稿: とおる | 2013年6月10日 (月) 22:32

アポさん

たしかにすごいエネルギーです。
ちがう見方をすれば、信じることの力はこんなにパワーを持つんだという見本でもあります。
あさっての方向にイッちゃってますが。。。

投稿: カオル | 2013年6月11日 (火) 09:53

とおるさん

きのうはAA記念日でしたか。
よく憶えていますね。ぼくは記念日を覚えるのがニガテで、自分の結婚記念日もすぐに忘れちゃうんです。
キャリーさん、たしかにおっさんです。
よくみるとアンソニー・ホプキンスに似ています。はげ上がった額と丸顔、目の感じが似ています。
レクター博士ですね。キャリーさんもにっこり笑ってまさかりを振り下ろしそうな気配を感じます。こわいですw

投稿: カオル | 2013年6月11日 (火) 09:59

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