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2013年2月24日 (日)

過去はいつでもよみがえる

ふとしたはずみに、過去がよみがえってくることがある。
もうずいぶん昔、無軌道な暮らしをしていたころのことだ。ぼくは失恋して、大学を留年して、酒を飲み、日々あてどなく小さな町をさまよっていた。
ぼくはずっと自分が傷つけられた側だと思っていたけど、よみがえってきた過去は、ぼくが傷つける側だったことを見せつける。
何人かのひとには暴言を浴びせ、好意でしてくれたことをののしった。
何人かのひとには、深い傷になってもおかしくないことを平気でしてきた。
誰だって、そんな不愉快なことは思い出したくない。思い出さない。
あれは昔のことだ。若いころなら、誰だって同じようなことをしている。自分だけじゃない。もう相手だって忘れてくれているだろう。
でも過去を忘れて調子に乗って暮らしていると、ある日いきなり過去がよみがえってくる。
どれだけ遠く離れようと、どれだけ時間が経とうと、ぼくたちは過去から逃げ切ることはできない。
逃げれば逃げるほど、忘れようとすればするほど、過去はある日よみがえり、ぼくたちの足もとをさらう。
ある種の呪いのように。

古い友人と話していて、不意に彼らの近況を聞いた。友人は、機会があって彼らと会ってきたという。よもやま話の中で、ぼくの話題も出たそうだ。
それを聞いて、不意に胸をわしづかみにされたように感じる。彼らは当時、どんな気持ちだったんだろうか。いまふり返って、どんな気持ちなんだろうか。恨んでいるんだろうか。怒っているんだろうか。ぼくは許されているんだろうか。

酒が止まって時間が経っても、埋め合わせは終わっていないことを思い知る。
どれだけ時間が経とうと、過去は変わらない。ただ、過去の意味を変えていくことはできる。過去にとらわれない生き方をすることも。
忸怩たる思いと痛みに満ちた過去を、未来への資産に変えていく。
そのためには、機会あるたびに過去と対峙し、埋め合わせをしていく必要がある。

過去から学べない者は過去に打ちのめされるように運命づけられているのだ。

—スティーブン・キング—

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