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2013年1月25日 (金)

2013年01月23日SHIBUYA-AX パティ・スミス来日公演

2013年01月23日(水)、渋谷アックスでパティ・スミスの来日公演を見てきた。2009年フジロックにつづき、パティ・スミスのライブを見るのは2回目になる。
前回はギターに盟友レニー・ケイ、そしてテレヴィジョンのトム・バーラインを迎えてのバンドだった。今回はレニー・ケイは同じ、トム・バーラインはナシ。まぁ、そりゃそうだよね。

余談だけど、フジロックのトム・バーラインは異様に元気がなかった。
痩せて目つきのわるい、体調の悪そうなおじさんが出てきて、ドラムセットの台に腰かけてずーっと下を向いたままギターを弾いている。ほかのメンバーとまったくコミュニケーションがない。気になって注視していたら、やっぱりトム・バーラインだった。伝説のトム・バーラインであるが、観客からはまったく気づかれず、声もかからなかった。パティも紹介しなかったし。だいじょうぶかトム・バーライン。

それはともかく、パティ・スミス。
会場のSHIUYA-AXはほぼ満員。ガイジンが多い。1割くらいはガイジンだった印象である。6:30に開場、すぐにグッズ売り場に並ぶ。ホーセズのビッグプリントTシャツを購入。デビューアルバムである「ホーセズ」ジャケットの、中性的なパティの写真をあしらった、いかしたTシャツである。あまりにかっこいいので夫婦で同じものを買ってしまったが、悔いはない。ついでにパーカーも購入。
グッズ購入に意外に手間どり、となりにあったチャリティコーナーには立ち寄らず会場に入る。あとで後悔することになる。

前方モッシュピットに入ると、まわりは強烈な個性の人々ばかり。年齢層はもちろん高く、40代中盤から60代まで、アダルトな年代である。が、みなカッコイイ。スタイリッシュなおじさん、おばさんがせいぞろい。アートでパンクな、ハイセンスな中高年である。職場直行で普段着の自分が恥ずかしい。
ほぼ定刻にライトが落ち、ショーが始まった。
レニー・ケイは上手側に陣取り、ベースを弾きはじめる。ん?ベース?下手側にはギター一名、キーボード一名。ドラムをバックに、中央がパティ・スミス。
ミドルテンポのナンバーでステージが始まる。ゆったりと体を動かし、歌い、ステージを動くパティ。PAのバランスがとても上品で、パティの歌声がクリアに聞こえる。
途中で何度もステージ前列のファンに手を差し伸べ、握手をする。にこにこしながらファンの声に応え、手を振る。ああ、やっぱりいい人だわパティ・スミス。

最近の曲は良く知らないけど、ゆったりしたテンポでアーシーなナンバーが多い。バンドもボーカルも、とてもリラックスしてのびやかだ。いい。すごくいい。
レニー・ケイ、下手側のギタリストとキーボードの3人は、交替でベースを演奏。誰が弾いてもうまい。ムリなプレイをしない。でしゃばらない。このバンドは、ボーカルを聞かせるこつを心得ている。

パティは平易な英語で、何度もオーディエンスに語りかける。きのう仙台公演の際に沿岸部を見てきたこと、震災、津波、福島への哀悼の気持ち。ロシアの捕らわれた女性パンクバンド、プッシー・ライオットのこと。抑圧、苦しみ、痛み、暴力。でもわれわれには意志の力があること。
うまく聞きとれない箇所も多かったけど、この人はやはり詩人なのだと思う。歌と語りがひとつながりになって、違和感を感じない。彼女にとって、歌うこと、語ること、詩を書くことは連続した表現なんだと感じる。

途中、チャリティ福引きコーナーが始まる。アシスタントの女性が出てきて、福引きを始める。なんと、チャリティコーナーで福引券を購入した人の中から抽選で、パティ・スミスとバンドメンバーの直筆サイン入りの、バスドラムカバーがプレゼントされるというのだ。
あああ、こんなことなら買っておけば良かった…Tシャツ購入という我欲を優先したばっかりに…後悔先に立たずである。
福引きの結果、バスドラムカバーは、ガイジンさんがゲット。「GANBA 絆」と描かれた、ステージ上のドラムカバーと同じものである。ああうらやましい。
もしこのブログを読んだ方でツアー後半の公演を見る方は、ぜひチャリティ福引券を購入してほしい。震災関連のチャリティである。さすがパティ。彼女らしい思いやりだ。

福引きのあと、ジャパニーズ・ナンバーワンバンド、シーナ&ロケッツが何とか、と話すがよく聞きとれない。あとで知ったが、シナロケ夫妻が前方にいたようだ。不覚。
シーナ&ロケッツに敬意を表してなのか、レニー・ケイのボーカルでボーン・トゥ・ルーズを含むロックンロールメドレーが始まる。中年ファンは大盛り上り。そりゃそうだ。パティ・スミスのバンドが、ジョニー・サンダースのナンバーを目の前でやってるんだから。興奮しないわけがない。

途中、和太鼓の日本人奏者を交えての数曲も入り、バラエティに富んだステージだった。アンコール前ラストはもちろん、グローリア。G、L、O、R、I、A。アルファベットの読み上げのところ、盛り上がる盛り上がる。全員でグローリアの大合唱。
アンコールはBANGA、ピープル・ハブ・ザ・パワー。期待していたロックンロール・ニガーはやらなかった。ざんねん。

今回、フジロックの神がかったシャーマニックなステージとはまたちがう、別のパティ・スミスを見た。
穏やかでリラックスしてて、成熟と円熟のパティ・スミスだった。世界中の災害や不幸にやさしいまなざしを向け、共感し、同時に前進するポジティブな意思を持つ、すぐれたアーティストを見た。曲を知らなくても、英語のMCが分からなくても、何度もファンに手を差し伸べ、ボーカルパートに間に合わなくなっても握手しつづける彼女の姿は、ほんとうにすばらしかった。
すばらしいステージだった。

余談。
終演後、屋外のグッズ売り場には長蛇の列が伸びていた。寒空の下、おおぜいの(年配の)ファンが並んでいた。
と、身なりの良いご夫婦が会場から出てきた。見るからに高級そうなコートとマフラーをまとい、エグゼクティブな雰囲気をただよわせている50代後半の紳士。そして奥さま。さしずめ大企業の部長夫婦というところだろうか。
紳士の方が、グッズ売り場に並びたいと希望された。きっとお若いころから熱心なファンなんだろう。「並んでもいいかな…」おずおずと控えめに、奥さまを気遣いながらご所望される声が聞こえた。
奥さま一喝。「これからここ(屋外の長蛇の列)にならぶ体力のこってんのッッ?!」
紳士はそのまま何も言わず、奥さまに引かれて、夜の闇に消えていった。
ああ、分かる。分かりますその気持ち。若いころ、NYパンクに胸をときめかせた世代ですよね。中性的な魅力のパティ・スミスにノックアウトされたひとりですよね。50を過ぎて体形が変わっても、あのころの夢のかけら、ホーセズのTシャツは欲しいですよね。
奥さまの気持ちも分からんでもない。たぶん気乗りしないまま、旦那さんにつきあってきたのだろう。で、待ち時間を含めて2時間を越えるスタンディングライブで、お疲れになったのであろう。そこからまた長蛇の列に並ぶ気がしないのも、当然である。
両者の気持ちは分かる。分かるだけにつらい。紳士は翌日、無事に会社に出勤できただろうか。うーむ。

けつろん。
グッズはライブ前に購入しておきましょう。終演後は混みあいます。

そうそう、購入したグッズはむき出しで手渡されます。購入される方は、大きめのバッグなどを用意していきましょう。

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コメント

I know how you feel.
「ミーティングの魔法の4word」とか言われますが判りますともその気持ち…。
私は奥さんが居ないのですが、おっさんとして言わせて貰います。

I know how you feel...

投稿: k | 2013年1月25日 (金) 23:34

kさん

ぼくもとなりでご夫婦のやり取りを聞いていて、胸に熱いものが込み上げて参りました。件の紳士の落胆ぶりは、共感できます。ううう。Tシャツほしかったんだよね。
まさに" I know how you feel." ですね。
翌日、無事に会社に行けたのか、心配ですw

投稿: カオル | 2013年1月26日 (土) 07:18

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