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2012年5月28日 (月)

東京ファミリーインターベンションセンター開設フォーラムで考えた

5月27日、東京ファミリーインターベンションセンター開設フォーラムに参加してきた。

同センターは、社団法人 座(くら)あらため社団法人GARDENが東京に設立した、家族介入に特化した援助機関である。会場はほぼ満員。40代から60代くらいの女性が大半である。アディクション本人というより、ご家族が多い印象だ。
GReeeeNを思わせる軽快な音楽が流される感動的なスライドショーから会は始まった。同法人代表の矢澤氏の魅力的なプレゼンテーション、スコット・ジョンソン氏をはじめとする海外からの豪華なスピーカー陣。昼休みを挟んで琉球太鼓のアトラクション。
豪華である。
最後に同センター代表の田中氏のあいさつ。ぼくの前の列は、ほぼ全員がハンカチを取り出して目元をぬぐっていた。

考えさせられた。
ここには「まだ苦しんでいる家族」が大勢いる。GARDENのメッセージは非常にシンプルだ。「ここにくれば回復できますよ」と言うメッセージである。シンプルで心地よく、力強い。
あなた方はもうじゅうぶんに苦しんできました。もうこれ以上傷つく必要はありません。ここにくれば回復できます。われわれには問題を解決する用意があります。
魅力的なプレゼンテーション術を駆使して、彼らはそのメッセージを会場に集まった家族に提示する。
いささか矢澤氏、田中氏のカリスマが強調されすぎている感がなくもない。しかし、依存症者に振りまわされ苦しんでいる家族には、彼らのポジティブな資質はとても魅力的に映ったであろうことは想像に難くない。
単純に言えば、「矢澤さんのところに行けば力になってもらえる」「田中さんにお会いすれば流れが変わる」
そういう希望が持てる内容だった。同センターの成功を祈り、法人の成長と、これからの活動に期待したい。

彼らのプレゼンテーションを見ながら、AAの中で自分はいったいどれだけのことができてきたのだろうかと、大いに考えさせられた。
地元のグループに属し、何度もイベントを経験してきた。が、オープンスピーカーズミーティングと言いながらも参加者のほとんどはAAメンバーである。それ以外は医療福祉関係者と家族がせいぜい4、5名。
「われわれの本来の目的はただひとつ、まだ苦しんでいるアルコホーリクにメッセージを運ぶことである」と言いながら、内輪のAAメンバー同志の交流にばかり時間を割いて、せっかく足を運んでくれた医療福祉関係者や家族に焦点を当ててこなかったのではないか。
セミナーに来ている家族、関係者。その先に、まだ苦しんでいるアルコホーリクがいる。メッセージを運びたいのなら、まずは彼ら家族・関係者の力になり、彼らのニーズを知り、答えていく必要がある。それなのに身内ではしゃいで(それも大事なんだけどね、楽しい雰囲気がなくっちゃやっていけないし)、せっかく足を運んでくれた家族・関係者への対応をおざなりにしていたのではないだろうか。

今回の開設フォーラムに大勢の家族が集まっているのを見て、正直、ぼくは驚いた。こんなにも多くの家族が、回復を願っている。回復の場を望んでいる。それは裏を返せば、AAが本来なすべきメッセージ活動をきちんとやってこなかった結果、とも言える。

またGARDENでは12ステッププログラムを積極的に取り入れている。喜ばしいことだ。が、同時にAAメンバーとしては複雑な思いを抱かざるを得なかった。本来的にはもっともっと、AAがクオリティの高い12ステッププログラムを提供する場であって欲しい。何せAAは「12ステッププログラムを使って回復を目指すアルコール依存症自助グループ」なのだから。
4、5をスポンサーと終えたら(スポンサーを持っている仲間さえまだ少ない)、あとのステップは日々の暮らしとミーティングの中で自ら感じ取るものだ。一生かかるステップだから1年や2年で分かったつもりになってはいけない。そんな禅問答みたいなことを言っているうちにいつの間にか、AAは他の12ステップグループの後塵を拝することになってしまった。

AAに何年も通っていると「まだ苦しんでいるアルコホーリク」と言う言葉が形骸的な記号化してきて、うまくイメージできなくなってくる。単に自説の正当性を主張する際の、都合の良い理由付けに過ぎなくなってくる。
今回の集まりでぼくが感じたのは、回復の場を望む家族たちの、切ないくらいの熱い思いだ。壇上の言葉ひとつひとつに大きくうなずき、共感し、涙を流す。アディクションからの回復を願っているひとたちが大勢いるのだ。目の前に、現実に、そういうひとたちが会場いっぱいにいる。可視化と言うのはとてもインパクトが大きい。
AAも、回復を願う人びとの期待に応える場であって欲しいと思うわけです。

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コメント

かって、社会を見捨て、社会に見捨てられたアルコホリックが回復し、
社会に戻って行く。
そしてその社会で必要とされ、希望をもたらす存在となる。
しかし、彼らは12の伝統を守り無名のまま12のステップをメッセージ
して行く。

うむ、ビルやボブや仲間たちはこうした事を夢見ていたんでしょうかね?

でもね、もうカオルさんも自分の知らない所で、無名のまま希望の星、
ヒーローになっていると思いますよ!


投稿: | 2012年5月28日 (月) 22:50

コメントありがとうございます。
12ステップはきちんと使えば回復をもたらし、人生を豊かにしてくれます。個人の回復だけではなく、人に伝えることもプログラムの一部なんですよね。
ぼく自身は最近はミーティングになかなか参加できず、新しい仕事でいっぱいいっぱいです。ですがブログも含め、機会あるたびにメッセージを伝え、ひとの役に立っていきたいです。
ありがとうです。

投稿: カオル | 2012年5月29日 (火) 11:50

12ステップは、その人の人格をつくりかえる
プログラムですね。
A A メンバーは、もっとステップに取り組めば
良いのにねえ。
もったいない話ですね。

投稿: アポ | 2012年6月 1日 (金) 23:10

アポさん

お久しぶりです!
ミーティング(フェローシップ)の重要性が強調される一方で、ステップが今ひとつ浸透していないのは残念です。
まずは自分が身に付けて、実践していかないと、ですね。
12ステップは、ぼく自身はあくまで「依存症から回復するためのツール」だと思っています。ステップを経験する中で、結果として人格に変化を来すかも知れませんが、それは副次的な結果であり、人格形成それ自体を目的としてはいけないと思っています。
良いひとになるプログラムではなく、酒をやめるプログラムです。自分自身、そこを間違えないようにしないとな、と思います。

投稿: カオル | 2012年6月 2日 (土) 06:19

くわしいことはお会いするときにでも。とにかくお気を付けください。

投稿: たまちゃん | 2012年6月 2日 (土) 23:56

たまちゃん

コメントありがとうございます。
来月お会いできるのを楽しみにしています(^^)/

投稿: カオル | 2012年6月 3日 (日) 09:27

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