スティーブ・ジョブズの死を悼む
きのうからTVもネットも大騒ぎだ。
Appleの共同創始者、スティーブ・ジョブズが亡くなった。
56歳。早過ぎる死だ。
TVでもジョブズの歩みをまとめたコンパクトなニュースが流れ(こう言うのはTVの良いところだ)、ジョブズを知らない人たちにも彼の偉業が伝えられた。
ぼくは一貫してMacを使い続けてきた。
初めて買ったパソコンは、1996年、PowerBook1400CS。
64MBのメモリを搭載して、カラー液晶だった。先輩たちのMacはモノクロだったから、すごくうらやましがられたのを憶えている。
機能拡張書類を入れ替えれば、便利な機能が増えて行く。トラブルを起こしても、機能拡張を出し入れしたり初期設定ファイルを入れ替えれば何とかなる。昔のMacは自転車に例えられた。DIY精神で何とかなった。
しばらくして、マウスとカーソルでアイコンを操作するのも、Macの基本的な仕組みも、ヒッピー精神あふれる二人のスティーブから生まれたことを知るようになった。
Appleは常に、PCの世界を革命し続けてきた。
その中心は、スティーブ・ジョブズだった。ほかの誰が花柄のパソコン、ペイズリー柄のパソコンを作り得たろう?
Windowsにノーと言い続け、独自の美学を貫き続けられたろう?
Mac派の人々がMacを使い続けたのは、スティーブが示した先進性、彼のビジョンが、マシンやOSの隅々に息づいているのを感じたからだろう。
リドリー・スコットが監督したAppleのCM「1984」は、いま見てもまったく色あせていない。
パイレーツと称され、既存の業界に反旗を掲げ続けた人物。
彼には、何十年も先のビジョンが見えていたんだろう。
彼は、ロックの人だったんだな、と思う。
あるサイトに、こんな言葉が載っていた。「彼は心に影響を残したばかりでなく、多くの人々のハートに触れた。それが、ジョブズが他の技術革新者たちとちがう点だろう」
Steve Jobs: Quotes on Life, Death and Technology
そう、彼はわれわれのハートに触れた。iPhoneもiMacもMacOSもiTunesミュージックストアも、われわれのハートに触れて、揺さぶり続けた。
シリコンバレーの住人で、他にそんなことができる人物がいただろうか。
ぼくも知らなかったが、彼の2005年のスタンフォード大での卒業式のスピーチは感動的だ。
自らが創立したapple社を追われたことも、彼にとっては「必要なこと」だったと振り返っている。
スティーブ・ジョブズの感動スピーチ(翻訳)字幕動画
その時は分からなかったのですが、やがてアップルをクビになったことは、自分の人生最良の出来事だったのだ、ということが分かってきました。成功者の重圧が消え、再び初心者の気軽さが戻ってきたのです。あらゆるものに確信はもてなくなりましたが。おかげで、私の人生で最も創造的な時期を迎えることができたのです。
逆境にあっても、一時は恨みや怒りにとらわれても、そこから前に進むこと。
安住しないこと。ハングリーであること、バカであり続けること。
さよならスティーブ・ジョブズ。
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