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2011年8月 3日 (水)

棚卸しの巻

きのうはスポンシーのステップ4、5の手伝いをしてきた。
彼に取って2回目の棚卸しだ。前回はジョー・マキューの「ビッグ・ブックのスポンサーシップ」の棚卸し表を使ったけど、今回はビッグフットのワリー・Pの棚卸し表を使った。

ビッグフットは、かつては批判も多かったようだ。いまビッグフットのテキストやワリーの棚卸し表を見直しても、奇異な印象は受けない。洗練されているし、うまく練れていると思う。BBがメインテキストで、ビッグフットやジョー・マキューは補助教材、と言う使い方ならなんら問題はないとぼくは思う。
まさに小中学校で使う標準教材と準教材の関係だろう。
ぼくはギターを弾くけれど、どの教則本を使って弾けるようになったのか、と言うことはまったく問題ではない。問題はギターを演奏するスキルが身に付いたかどうかであり、そのスキルを用いてどういう音楽を表現するか、である。目的と手段を混同するとろくなことにならない。分かりやすくて自分に合った教則本なら、それでいいと思う。最悪なのは、教則本にこだわってばかりいてギターを弾かないことだ。

ジョー・マキューの棚卸し表を使うには、共存本能、安全本能、性の本能、の3つを理解しないといけない。時にこれがピンと来ない場合がある。あるいは1列目、2列目の記載と4列目の関連に、イマイチ腑に落ちない場合がある。
ワリーの棚卸し表は、うらみ、誤ったプライド、ねたみ、ジェラシー、自分勝手、怠惰、不正直、恐れにチェックを付けて行く。ねたみとジェラシーの区別に迷うが、それ以外はあまり迷わずにチェックを付けて行ける。
そして最終的に、自分の性格上の欠点(負債)だけでなく、長所(資産)にも目を向けることができる。
ぼくは、ここがワリーの棚卸し表が特にすぐれている点だと思う。

棚卸し表は、自分の性格上の欠点を見つけるのが目的だ。けど、棚卸し表を作るのはとてもたいへんな、疲れる作業である。精神的にきつい。何せ、自分の過去の欠点を洗いざらい吟味するんだから。
当然、イヤな記憶がフラッシュバックし、自己否定的な感情に見舞われる。

徹底的な棚卸しを終えて、自分の欠点をこれでもかと見せつけられる。もちろんそれは大事なことだ。新しい生き方の出発点として、欠かせないことである。でも、そこにはやっぱり希望も欲しい。棚卸しをやって良かった、自分の過去を見つめ直して良かった、ここから回復して行きたい、と思えるよすがが欲しい。オレにはイヤなところが山ほどあることが分かったけれど、生きて行く価値もある人間なんだ、と思いたい。
いくら「ステップ3の決心を思い出せ」とハッパをかけられても、自己嫌悪感バリバリ、モチベーションだだ下がりのままでは先に進めない。
自分の資産を、ワリーの棚卸し表は自然な形で提示してくれる。スポンサーの技量に拠らない。そこがいい。

棚卸しは、心理療法で言うところの直面化に近い要素がある。カウンセラーとの対話ではなく、自分で棚卸し表を書いて行く中で、目をそらしてきた過去の矛盾や葛藤に直面する。否認しようにも、自分が相手ではどうしようもない。
それを直視し、受け止めるには、それこそ自分一人の力ではどうにもならない。安全な環境、共感と支えが必要だと思うのである。

12&12にはこう書いてある。
おそらくそのスポンサーは、新しい仲間が負債だけでなく、資産も持っていることを指摘してくれるだろう。このことは憂うつを晴らし、安定感を取り戻してくれる。
「12のステップと12の伝統」p.63

落ち着いた気持ちで、何もかもゆだねられる安心感の中で棚卸しを行い、自分の過ちの本質を認めて行きたいものです。

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コメント

初めて書き込みます。
ちょっと私の雑感など…。
経験と力と希望を自分の過去の中に見つけ出さなければ先に進むのも嫌になりますからねぇ。

勉強と同じで、やっぱり後から来た人の方が早く核心に辿りつきますね、
(学ぶ気になれば他の人の経験を存分に使えますから!)
12ステップを特殊な事と思わず、学習だと思えば本当に簡単な事だと思います、求める答えは決まってますし。

投稿: k | 2011年8月 3日 (水) 18:42

kさん

初めまして。コメントありがとうです。
雑感、ありがたく拝見しました。
そうなんです、希望がなければ進めないと、ぼくも思うのです。

>勉強と同じで、やっぱり後から来た人の方が早く核心に辿りつきますね

理論的にはそのはずです。
が、この業界はなぜか先人のやり方が曲解されて次の世代に伝わったり、まったく伝わらなかったりすることが往々にしてあります。
それでもワリーの棚卸し表やJMQのやり方など、便利なツールが増えているのは確かです。

>ステップを特殊な事と思わず、学習だと思えば本当に簡単な事だと思います

ぼくもそう思いますよ。気後れせず、ステップに取り組む人が増えると良いのにな、と思います。そのためには自分も、ほかの仲間も、どんどんステップを手渡し、広めて行くしかないでしょう。

投稿: カオル | 2011年8月 3日 (水) 22:01

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