ハッピーバースデイ
ブログのプロフィール欄を何気なく見たら、数年前から更新してなかったことに気がついた。
ソーバー4年目、36歳とか書いてある。いつから更新し忘れていたんだろう。いまソーバー9年目、43歳である。あれ、計算が合わないな。
ブログを書き始めたのは2004年5月。もう7年も経つのである。
回復とか成長とか言われても、自分ではさっぱり分からない。
7年前からさっぱり成長してない気もするし、色んな体験をくぐり抜け、多少とも成長した気もする。
自分の成長は分からないが、仲間の成長はよく分かる。
どうしようもないアル中が、AAに来る。
最初はみな半信半疑だ。猜疑心と不安で、びくびくしながら参加している。話なんて頭に入りゃしない。周りはどんな連中か、自分はどう見られているか、そればっかり気になっている。
それが、次第に変わっていく。
AAで過ごす時間が長くなるにつれ、かたくなだった心が開き、ほどけていく。
仲間の問題に共感し、学び、手助けしようとする。
何よりも、あれほど我が身に染み込んでいた強迫的な飲酒行動が、いつのまにか消えている。
ぼくがAAに来たばかりのころ、AAに来ても性格は変わらない、という話を良く聞いた。
回復はするけれど、もともとの性格は変わらない、と。
これは、「AAに来てすっかり人間が変わって、人格も何も丸ごと変わるなんて思うな。過剰な期待はするな」という戒めだとぼくは理解している。
性格は変わる。
行動理論によれば、性格とは、外部からの刺激に対する反応パターンの総和のことだそうだ。
じっさい、AAに来て反応パターンなり性格が変わった人間を、何人も見てきた。
そりゃそうだ。
キレやすく不寛容で攻撃的な言動が寛容でおおらかになる。表情が柔らかく、笑えるようになる。
いちいちキレた反応をしなくなる。
誰だって性格が変わったと思うだろう。
彼は、AAに来たばかりのころは泣いてばかりいた。
生きることも死ぬこともできず、どこにも居場所を見つけられず、孤独の中にいた。
それがいまは、仲間のために苦労をいとわず、知恵を絞って懸命に生きて行こうとしている。
あれほど酒におぼれていたのに、いまは一滴の酒も飲まず、そのことになんら囚われていない。
最初に会ったときとはまるで違う人間のようだ。
彼の笑顔を見るたびに、AAプログラムの素晴らしさを再認する。
Mくん、バースデイ、おめでとう。
ほんとうに、自分のバースデイよりもうれしいです。
愛と共感と安らぎが、われわれとともにありますように。
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コメント
はじめまして、カオル様。突然のメール失礼致します。
私は去年の3月末、AAにつながった者です。
去年の3月にA依存症と診断されました。今は、
スポンサーにも出逢え、毎日ミーティングの日々です。
西の方に在住です。2010/12~2011/1のカオル様の
ブログを拝読、胸に沁みたのと、毎日生活をしていく
のに力づけられました。
行動半径が凄く広くていらっしゃいますね。仲間から
できるだけ遠い会場へ行ったほうが良い、と提案され
ていますが、実際行けてるのは、隣近所の県とかです。
自助グループという言葉で連想するのが、何故か映画
『ファイト・クラブ』です。悪趣味ですが。
映画では「生きてる実感」を求めて、自身の問題とは
関係ない自助グループ巡りする行動から始まりますが、
こっちは命がかかってるわよ、って今は思います。
このブログに出会えて嬉しく思いました。
ありがとうございます。
投稿: mayu | 2011年1月10日 (月) 00:50
mayuさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
AAにつながってミーティングに通っているとのこと、何よりです。
診断されてからAAに来るまで、早かったんですね。
ぼくは主治医に自助グループに行くように言われても、しばらく抵抗していました。mayuさんはミーティング、スポンサーシップ、順調な滑り出しのように思います。
行動半径は、ぼくも似たようなものです。や、ぼくの方が狭いかも知れません。隣県どころか、隣の市のミーティングにクルマで行くのも面倒くさいと思ってしまいます。イカンですね。
ファイトクラブは、ぼくも好きな映画です。いかれた映画ですが、妙に引きつけるものがありますよね。
主人公が病気でもないのに自助グループに通う姿は、生き甲斐を求め、仲間を求め、欠落した自分の「何か」を求めているようで、ぼくも身につまされます。
そう言えば、AA関係でファイトクラブの話が出たのは、mayuさんが初めてです。うれしいですね〜。
過疎ブログですが、またぜひ遊びに来てください。
いつかお会いできる日が来るのを、楽しみにしています。
投稿: カオル | 2011年1月10日 (月) 23:40