スリップ、仲間の死
またひとり、仲間が亡くなった。
つい先日、年越しミーティングでいっしょに風呂に入ったのに。
おたがいの身体の傷を見せあって、笑いあったのに。
元気にミーティングに来ていた仲間が、だんだん姿を見せなくなる。
しばらくすると、亡くなったという情報が伝わってくる。
ひとり、またひとり、向こう側に渡っていってしまう。
そういう病気なんだ。
ぼくは1年のバースデイを迎えるのに、1年9ヶ月かかった。
はじめのうち、まったく酒が止まらなかった。やがてスリップを繰り返すことにどこかで感覚が麻痺していったように思う。
でも最後の酒のあと、激しい自殺衝動に襲われて、このままでは本当に死んでしまうと思った。
死ぬのはイヤだ、コワイ。本気でそう思った。
ステップ1は自分で踏むしかない。
でも、自分が何と戦っているのかも分からないまま、何人ものアルコホーリクが回復できずに死んでいく。
一度はAAにつながっても、またあの暗闇に飲み込まれて消えていってしまう。
願わくば、一人でも多くの仲間が、死の門口に立つ前にこちら側に戻ってきて欲しいと思う。
ほんとうにね、ノンアルコホーリクにとってはただのお楽しみの一杯。でもわれわれにとってそれは死の入り口なんだよ。次のスリップのあとで命が残ってる保障なんてどこにもないんだよ。
| 固定リンク
コメント