地獄変・偸盗、読了
新潮文庫「地獄変・偸盗」を読了。芥川龍之介。
地獄変の壮絶さに圧倒される。
「王朝もの」と呼ばれる、宇治拾遺物語や今昔物語に原典を得た一連の平安ものらしい。
いやー。
芥川さん。恐ろしい人だ。
良くこんなスゴイ話が書けるモンだ。ストーリーもスゴイが描写というか、筆致もすごい。
壮絶さと絢爛さと美と醜が混然と入り交じった、言いようのない迫力。
芥川は中学・高校時代に教科書や読書感想文の題材で読んだだけだった。こんな魅力ある作家だとは知らなかった。
本文と巻末の脚注を行ったり来たりするのがわずらわしいけど、その手間をさっ引いても読み応え十分。
巻末の「六の宮の姫君」もはかない魅力があってイイ感じ。
箱入りの姫君が、帰らぬ夫を待ちわびながら凋落していく。
悲劇なんだけど、どんどん凋落し、滅んでいく描写がまた美しい。
「偸盗」の沙金の狂気じみた悪女っぷりとは正反対の、受け身な女性。
個人的には、あまりにも受け身で、ちょっと自己憐憫すぎるんじゃないのと思う。
でもなー。
なんか、飲んでいたころの自分と妙にオーバーラップするんだよな。失恋の痛手から何年も立ち直れなかったもんなー。
あと「縁なき衆生は度し難し」というフレーズがハマりました。
忠告を聞き入れないものは救うことが出来ない。
人の忠告を受け入れるには、心を開いていないといけない。
我にこだわっていては、新しい考えは入ってこない。
ステップに通じるものがありますね。
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