怪談・二匹の蛙(ランナーの方は読まないでください)
これは実話である。
我が支社の女性職員が体験した、ほんとうにあった話である。
以下、ランナーの方は心臓に悪いので読まない方がよいと思います。
ホント、読まない方がいいですよ。
彼女は我が支社に配属されて4年目になる優秀な若手職員である。
ある雨の降る夜、彼女はクルマで旧国道を走っていた。
友人と会う約束があり、遅い時間になっていた。
暗くて見通しの悪い旧国道を走っていると、ヘッドライトの前方に2匹の蛙が跳ねているのが見えた。
「このまま踏んづけちゃおうかな」
そう彼女は考えた。
蛙を避けるには、大きく反対車線にはみ出さなければいけない。
往来の少ない真夜中とは言え、突然対向車が現れる可能性もある。何せ灯りもなく見通しのきかない、曲がりくねった雨の旧国道なのだ。はみ出すのは怖い。
そのとき彼女の胸に祖母の言葉が不意によみがえった。
無益な殺生をしたらアカン。と彼女の祖母は常に言っていた。
お祖母ちゃん子だった彼女は祖母の言葉に従い、大きく反対車線にはみ出して2匹の蛙をよけることにした。
さいわい対向車は来なかった。
追い抜きざま、彼女はふと蛙の方を見た。
その瞬間、凍り付いた。
それは蛙ではなかった。
雨の真夜中をひた走る、ひとりのランナーだった。
お祖母ちゃん、ありがとう。
戦慄しながらも、祖母に感謝の気持ちを抱いて彼女は家に帰った。
はい、怖い話ですね。
彼女は我が支社の優秀な職員です。常識的で聡明で、運動神経もよい方です。
無茶な運転をしたりもしません。
それでもこういう見間違いは起こるんですね。
この話を聞いてからあまり夜ランをしなくなりました。
どうしてもの時は、ちゃんと車道と歩道が別れている道、街灯の点いている道を走るようになりました。もちろん反射材タスキは必須。
どうか蛙と間違われて踏まれませんように。
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