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2008年6月13日 (金)

アルコール依存症治療薬

アルコール依存症の治療薬ができた、と言うお話。

ベルギーの創薬VC、アルコール依存症用治療薬の実用化にめど  【ゲント(ベルギー)=吉水暁】ベルギーの創薬ベンチャーであるエルビアン(ルーベン市)は、アルコール依存症用の治療薬「ナルトレクソン」の実用化にめどをつけた。安全性が確認されている既存の化合物を、独自技術で組み合わせ、開発した。臨床試験の最終段階である「フェーズ3」を09年中にスタート。2012年に欧米を中心に、日本を含めた世界各国で販売する計画だ。  アルコール依存症の治療は定期的にカウンセリングに通う場合が多い。一方、薬による場合は長期間、1日3回の服用が欠かせない。そのため時間や費用がかかるだけでなく、周囲にアルコール依存症であることを知られてしまう恐れがある。  そこでエルビアンは飲酒時の快楽を始終、脳が求め、結果的に依存症に至るメカニズムに注目。脳内のある受容体をブロックすることで、アルコールを摂取しても楽しくならず、依存症から脱する薬を、複数の化合物を調合し、作り出した。 (掲載日 2008年06月06日)

ベルギーの創薬VC、アルコール依存症用治療薬の実用化にめど:日刊工業新聞

これだけ読むと画期的な新薬が開発されたように思えるが、こんな記事も。

■[薬]麻薬治療薬がアル中治療にも効く [2005/04/20] http://medwave.nikkeibp.co.jp/show/nh/news/371054 麻薬治療薬がアル中治療にも効く [2005/04/20]  一般化学名「ナルトレクソン」(naltrexone)という麻薬拮抗薬がある。米国の商品名は「レバイア」(Re Via)。  ヘロイン中毒やアヘンの過剰投与による症状緩和に使われるが、この薬が重いアルコール中毒患者にも効果を出す可能性が出てきた。

サトウカウンセリングルームの雑記

どうも麻薬治療薬(正確には麻薬中毒治療薬か)としてはいままでにも使われていたような書き方だ。それをアルコール依存症治療薬として、追加認証の試験を行っている、と言うことだと思う。

では、これがアルコール依存症を治してくれるのかというと、ちょっとちがうようだ。

2005年06月02日

麻薬治療薬がアル中治療にも効く
一般化学名「ナルトレクソン」(naltrexone)という麻薬拮抗薬がある。商品名は「レバイア」(ReVia)。ヘロイン中毒やアヘンの過剰投与による症状緩和に使われるが、この薬を、重いアルコール中毒患者に使ってみた研究がこれまでにもいくつかあった。もし、これが有効とわかれば、アルコール依存症の患者本人だけでなく、家族や周囲の人たちにも大きな福音となる。
「コクランライブラリー」(CochrabeLibrary)という雑誌に掲載されたこの研究は、これまでに、ナルトレクソンをアル中治療に使った27編の研究を再検討している。そこでは、合わせて3049人のアル中患者にナルトレクソンを与えるテストが行われていた。最も多かったのは、毎日50ミリグラム、3ヵ月間投与し、その間アルコールは飲ませずに、その後どうなったかを見る試験だった。試験対象となった人たちは、ほとんどが、重度のアルコール依存症で苦しんでいる人たちだった。この研究論文によると、ナルトレクソン3ヵ月投与の後、再びアルコール依存に戻ってしまった患者の割合は、偽薬投与組と比較して、36%少なくなっていた。つまり、それだけ、ナルトレクソンはアル中にも有効である、ことがわかった。ナルトレクソンを与えられると、アルコールを飲んだときの“ハイ”な状態が起きなくなり、「酒がまずくなる」という。副作用としては、吐き気、めまい、疲労感などが報告された。また、試験の途中で、脱落した患者が、37%にも上った。研究者たちは、この結果を見て、どうしてもアルコールをやめられない人は、ナルトレクソンを試したい、と医師に相談するといい、と言っている。

麻薬治療薬がアル中治療にも効く:サプリメント関連ニュース

ナルトレクソンを与えられると、アルコールを飲んだときの“ハイ”な状態が起きなくなり、「酒がまずくなる」という

うーん。
マイルドなシアナマイドってところでしょうか。もちろん作用機序はゼンゼンちがうんだろうけど。
アル中が期待する「治る」って状態は、要するに「コントロール障害が治る。ノンアルコホーリクと同じように、適度に飲めるようになる」ってことだ。
が、この薬は、飲んでも楽しくなくなる、ハイにならなくなる、酩酊の快感がなくなるだけってことらしい。
こういう薬ができても、飲む気満々のアルコホーリクは薬を飲まず、いままでの酔いを求めてふつうに酒を飲むんじゃないかな。だって、飲みたいアル中は「酩酊」が欲しくて酒を飲むんだから。酒の味うんぬんより、酩酊がもたらすしびれるような感覚が欲しいんだから。酩酊しなくなる薬なら、シアナマイドと同様、薬を棄てて酒を飲むだろう。かつてのぼくがそうであったように。

「コントロール障害を治す薬」が登場するのはまだまだ遠い未来のようで。

でもそんな夢のような薬ができたところで、ぼくはその薬の力を借りて酒を飲んだりはしないだろう。
ぼくはアルコールに対して無力だ。酒を口にすれば、「適度に飲める薬」では満足しなくなって、アルコールの爆発的な酔いを求めて、薬を棄てて飲むだろう。
ぼくはAAが好きだ。
AAがもたらしてくれたものが好きだ。それは仲間であったり、共感であったり、一人ではなし得ないことを集団が成し遂げる尊さであったり、過去の自分を見つめる作業であったり、仲間の役に立てるという喜びであったり、とても言葉には現せないものだ。
そう言うものを投げ捨てて、また酒を飲もうとは思わない。ぼくの場合、飲酒のすぐ先には孤独と自己憐憫が待っている。
だいたい、自分がさんざん傷つけてきたひとたちのことを考えたら、「イイ薬ができたからまたお酒を飲んでます」なんてこと、とてもできない。
アルコール依存症治療薬は、抗酒剤と同様、依存症から回復したいと思うひとに対し、治療の過程で用いられるべきなんじゃないか。

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