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2007年7月 4日 (水)

雨の日に思い出すこと

雨が止まない。
昼も夜も降り続いている。
雨降りの日は気持ちが落ちつく。
飲んでいたころは晴れの日がつらかった。晴天の下、アパートで息を潜めるようにウォッカをあおっていると、どうしようもない罪悪感を感じた。
罪悪感と、そして果てしない寂寥。
自分が世界でたったひとりの生き残りのような気がした。世界中のあらゆる人間関係から孤立して、誰からも忘れられた存在のような気がした。じっさい、そのころのぼくは世界から切り離されていた。この世の中のどこにも属さない存在だった。
誰ともつながらず、どこにも属さず。唯一自分を心配する両親とは、全力で接触を避けていた。
真夜中の電話。両親が執拗にかけてくる、安否を気づかう電話。
布団をかぶり、震えながらコールが止むのを待っていた。何十回目かに鳴り止むと、「ごめんなさい」とつぶやいてウォッカをあおった。
そしてやってくるブラックアウト。
何もかもを忘れてぼくはアルコールの海の中に飛び込み、意識を失っていった。
意識を失いかける瞬間、ふたたび鳴り始める電話の音。
深い罪悪感。

雨の日だけは、そんな焼けつくような痛みが少しだけ薄らいだ。
朝から大雨が降っていると、楽な気持ちで過ごすことができた。
暗さと雨の音が、みじめな自分の存在を世間から隠してくれるような気がした。
もっとも、そんな日であっても、ウォッカを朝から飲むのは同じなワケだったけど。

いまだに雨の日は気持ちが落ちつくのは、その頃のなごりだろうか。
雨に煙るモノクロの風景を見ていると、自分が何ものでもなかった当時の感覚が一瞬でよみがえってくる。どこにも行けず、何ものにもなれなかったアル中。

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