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2006年12月 8日 (金)

コードギアス 反逆のルルーシュ

目が離せないアニメがある。

コードギアス 反逆のルルーシュ

近未来のニッポン。
ブリタニア帝国という超大国に世界は制圧され、日本もその強大な武力の前に屈し、征服された。
日本という固有名詞は捨てられ、日本は「11」、日本人は「イレブン」と呼ばれる世界。占領下の日本人の人権はないに等しく、権力に反抗する反乱軍は「テロリスト」と一括され、かくまう人びとともども情け容赦なく射殺される。
ブリタニア王家の血を引く主人公ルルーシュは、復讐と野望のために反乱軍を利用し、父とその帝国を破壊しようとする。

久しぶりにオタクマインドを刺激する作品である。
キャラデザはCLAMP。未知の動力によって動く「ナイトメア」と呼ばれる巨大ロボット。世界革命の話なのに、同時に学園ラブコメ。ザビ家を彷彿とさせる貴族階級の帝国。ギアスという謎の力。

しかし、オタクキーワードきらびやかなこのアニメの主題は、もっと別なところにあるように思う。

理念が正当なら、目的は手段を正当化しうるか?

主人公ルルーシュは己の目的のためにあらゆるものを利用しようとする。
彼と行動を共にする「黒の騎士団」は、彼の理念を実現するための駒に過ぎない。
彼が信じるものは、自分と妹だけである。
彼の行動原理は、母を殺され妹に障害を負わされた、怒りと憎しみだけである。
父とその帝国への憎悪が、彼のすべてである。
どれほど日本人が虐殺されようが、支配され抑圧されようが、ルルーシュには関係ない。
彼にとっては、野望の実現こそが世界でただひとつの命題なのである。

さて、理念が正当なら目的は手段を正当化しうるか。正しい理想のためなら、汚れた手段を使ってもかまわないのか。

ドストエフスキーの「罪と罰」。主人公ラスコーリニコフは野望と理想のために金持ちの老婦人を殺す。しかし最後は罪の意識のために滅んでいく。

この60年代〜70年代的な命題を持つアニメ。今後どんな展開をしていくのだろう。
主人公ルルーシュは目的のためなら手段を選ばない冷酷さの反面、友人や妹をとことんたいせつにする、ナイーブでやさしい内面を持つ。
その友人スザクは、悪法であれども秩序を重んじ、秩序の中から体制を変えて行こうとする。
スザクが世界を変え、ルルーシュは滅んでいく。イヤ、そんな単純な話でもないだろう。
理想とは。法とは。差別とは。革命とは。
いやはや、久しぶりに熱いアニメです。

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