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2006年8月31日 (木)

「日本、貧困層の割合が最も高い国の1つ」OECD報告

勝ち組・負け組と言う言葉が登場して久しい。
この言葉が出てきた当時、経済的に裕福かどうかだけで人間性を規定するような物言いにずいぶん反発を覚えた。
その反面、センセーショナルで残酷なこの表現は遠からず人びとの記憶から消えるだろうとも思った。事実、同時期に登場した「負け犬」と言う言葉はすぐに消えていった。
が、勝ち組・負け組と言う言葉は格差社会と言う表現に吸収され、いまやこの国全体を規定するキーワードになりつつある。

センセーショナルな言葉は、言葉それ自体がひとの考え方の方向を規定する。
センセーショナルなキーワードは、反動的な世論を形成しやすい。冷静に考えよう。
じっさい、ぼくの住む地方中小都市ではホームレスがあふれているわけではない。周囲で貧困層ががんがん増えている印象もない。飢えて死んだ話も聞かない。
果たしてこの国はほんとうに格差が広がっているのか。
扇情的なキーワードが独り歩きしているだけなのか、それともぼくが知らないだけなのか。

で、この記事。少なからずショックだった。

NIKKEI NET 「日本、貧困層の割合が最も高い国の1つ」OECD報告

経済協力開発機構(OECD)は20日、日本の経済政策に対する提言をまとめた対日経済審査報告を発表した。「日本は貧困層の割合が最も高い国の一つになった」と経済格差の拡大に懸念を表明、企業が非正社員より正社員を増やしやすくする政策を打ち出すべきだと見解を示した。金融政策では日銀は当面は追加利上げをすべきではないと提言している。

 日本経済の現状について「バブル崩壊後の経済停滞から脱却した。今回の景気拡大は戦後最長になる」との見通しを示した。

 経済格差の問題では、所得の不平等度を示す指標「ジニ係数」がOECD加盟30カ国の平均を上回る水準まで上昇し、相対的貧困率は米国に次ぐ2番目の高さになったと指摘。格差拡大の要因として高齢化やパートなどの非正社員の増加を挙げ、「正社員と非正社員という労働市場の二極化傾向が固定化する恐れがある」と警告した。 (11:13)

森永卓郎氏のコラムにも詳細な内容が紹介されている。
小泉総理改革解説(第44回)[森永 卓郎氏]/SAFETY JAPAN [コラム]/日経BP社 第44回 貧困率2位、日本は“堂々たる”格差社会に

貧困率とは、その国の平均的な可処分所得を基準に、その中央値の半分以下しか収入がない世帯(個人?)の割合だ。誤解を恐れずに乱暴に言うと、国民の平均収入の半分に満たないひとの割合だ。
90年代後半にはそれでも、メキシコ、アメリカ、トルコ、アイルランドに続く5位だった。それが今回はアメリカに次いで2位。OECD加盟27カ国中、堂々の第2位である。
高齢化によるリタイア人口の増加の影響もあるのかも知れない。しかしまた別のデータによれば、日本は若年層での貧困層が増えているとも。
5位のときのデータと今回のデータ、それほど調査時期が離れていない。
貧困化は進んでいるのだ。急速に。

きのうかおととい、ラジオでは「失業率は回復しているが、依然個人消費は伸びず」というニュースを流していた。
そりゃそうだ。これだけ急速に貧困層が拡大しているのに、個人消費が増えるわけがない。
それでも日銀はゼロ金利政策をやめる。金利がじわじわと上がりはじめる。預貯金の利子のわずかな増加と引き換えに、住宅ローンを始め、各種ローンの返済額は格段に高くなる。OECDの忠告とは逆の方向に、この国のトップはかじを切りはじめている。政府は各種控除や定率減税を段階的に廃止し、消費税もアップすると言う。とどめは年金はじめ、社会保障の縮小だ。

貧困層の拡大。中流層の負担増。生活不安。国民の「痛み」は増すばかりだ。
果たして痛みに見合うだけの成果をわれわれは手にしているのだろうか?
いかん、だんだん暗くなってきた。
この話はまたいずれ、別の機会に。

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