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2006年8月 5日 (土)

フジロック06日記その2

7月28日、金曜
いよいよフジロックフェスティバル06の初日。
8時過ぎに目が覚め、いちにちの装備を整える。われわれのテントの近くに仮設トイレがあったのだが、わずか3つか4つのトイレに数十人が並んでいる。トイレも含め、ここでは日常の何でもない行為が、ふだんの何倍も時間がかかる。
きょうの装備をどうしようか、かなり悩む。天気は曇り。雨が降るかも知れない。晴れてカンカン照りになるかも知れない。暑くなるかも知れない。寒くなるかも知れない。天候が変わっても、自分の装備で何とかするしかない。雨をよける屋根も、風や寒さをさえぎるものもここにはない。
悩んだ末、防寒具もかねたレインスーツ上下と、保温用に替えのタオル、それに日焼け止めや流せるティッシュ、レジャーシート、財布その他小物数点を持って出かける。妻は小ぶりなザック、ぼくはウエストバッグ。
キャンプサイトを降りて会場に向かう人の波に混じり、メインゲートで。途中、トイレと洗面で20分ほどかかる。
まずは屋台エリアのワールドレストランなるコーナーに行き、朝食をとる。

11時。オーガナイザーの日高氏のあいさつ。
グローバル・クールデイとかで、環境問題の説明がある。さらにそのコマーシャルの一環とのことで、ハリウッドの俳優さんが紹介される。日高氏、上ずってしまったようで、肝心の俳優の名前が良く聞き取れない。
長髪を後ろで束ねた白人さんの男女が登場。周囲の客はみな盛り上がっている。妻に聞くと「オーランド・ブルームじゃないかなー。パイレーツ・オブ・カリビアンの」とのこと。言われて見ればそのようでもある。(あとで確認したらその通りだった)
二言三言あいさつをし、オーランド氏と女性は退場。
そのまま最初のアクト、ストリング・チーズ・インシデントが始まる。
フジロック06、メインステージであるグリーンステージのオープニングアクト。
どんなテンションの高いバンドが出るかと、かなり期待していたのだが・・・。
いきなりレイドバックした、ラテンミュージックが始まる。平均年齢、かなり高そうだ。サンタナをもっと聞きやすくしたような、耳あたりの良いさわやかラテンポップス。
う・・・これ、ロックフェスだよね・・・。
安定感たっぷりの演奏だが、スリリングさとかそういうのは・・・。
あれほどロック気なひとがいたはずなのに、周囲を見渡すと観客はかなり少ない。
3曲目の中ほどでストリング・チーズ・インシデントのステージを抜け、ホワイトステージに向かう。
妻が楽しみにしてた、ヒロトとマーシーの新バンド「ザ・クロマニヨンズ」。
ブラス系バンドのSAKEROCKの終盤からホワイトステージに入り、客の入れ替えを見計らって前列に移動する。
SAKEROCKはフロントマンの盛り上げ方が上手だった。曲は、すみません、良く覚えていません。スカパラとか勝手にしやがれとか、何となくそう言った感じだとしか覚えていない。
で、クロマニヨンズ。
始まる前から、何となく不穏な予感がした。すぐ隣の若い白人男性が、ミョーな叫び声で「ひろと〜」とか「くろまによ〜ん」とか叫んでいる。ライブ前の盛り上がりと言うより、ちょっと危ない香りのする発声である。周囲には、タオルをアタマの後ろでしばり、半パンとTシャツ、素足にスニーカーの、いかにも「暴れます、ぼく」と言う感じの若者がたくさんいる。と言うか、前列はそう言う若者しかいない。
それでもまぁ、最初は高をくくっていた。地元でのサンボマスターのライブも前列でモッシュ部隊にもまれたし、荒吐でも最前列付近に行ったことは何度もあった。それに、奇声を上げたりしていかにも危ないのは隣のガイジンくらいだ。ほかの若者たちはそれなりにおとなしそうだ。危険はないだろう。
しかし。
ヒロトやマーシーはじめ、メンバーが現れたとたんに状況は一転した。どっと前に押し寄せる人波。前に押されるだけならまだいいが、横に押される。踏ん張ろうにも踏ん張れない。身体の向きを変えることも人の波から逃れることも出来ない。すし詰めの満員電車で突然急ブレーキがかかったような感じ、と言えばいいだろうか。
その状態が、右に、左に、前に、後ろに、えんえんと続くのである。足を動かすスペースもないが、とにかく足を動かして転ばないようにするしかない。ここで転べば将棋倒しになるのは間違いない。
ロックコンサートは何度も行ったが、身の危険を感じたのは今回が初めてだ。自分ではどうにもならない、暴力的な人の波。
ドラムがカウントを取り、マーシーがギターをかき鳴らす。ヒロトが吠える。人の波はさらに加速する。最前列付近から離脱しなければ。すぐそばに妻がいるが、声を掛けても轟音で聞こえない。手を伸ばして合図をしようとするが、ぎゅうぎゅう詰めの人波では腕さえ思うように動かせない。

結局ライブが終わって見れば、将棋倒しもけが人も(おそらく)でなかった。途中で危ない外人も含めおおぜいの若者が人波の上を泳いでいったが、ケガは出なかった模様。
しかし妻のリュックは口が開いてしまい、ゴアテックスのレインウェアとケータイ、それにCONTAXのT3を落としてしまった。地面は泥でぬかるんでいる。ゴアテックス、泥だらけ。ケータイ、電源は入るものの砂利をすり込まれて半壊。カメラに至ってはついに見つからず。
暴れるライブでモッシュピットに入るには、それなりの覚悟と勇気と体力がいるのだと痛感した。でも、ま、妻も自分も無事でよかった。ほんとうに死の予感がしたもの。

ところ天国の川でレインウェアを洗う。聞けば、妻も危険を感じたとのこと。ふたりとも呆然としたまま、冷たい川の水でレインウェアを洗濯する。
Tokorotenngokukawara01


それからオレンジコートに移動し、NATUMENを見る。遅れて見始めたが、去年サマソニで見たときよりもまとまりがよくなっているように思った。驚いたのが、フロントマンのギタリストがしゃべったこと。去年はひと言もしゃべらず、もうひとりのギターの女性がトーク部分をすべて担当していたのだが。おまけにニコニコと、笑顔まで見せていた。機嫌が良かったのだろうか。むすっとした、世に迎合しないコワモテキャラで通して欲しかったのだが。ちょっと残念。でも演奏はよかった。轟音、ノイズ、美しいメロディ。
そのままオレンジの屋台でタイラーメンを食べ、となりのヘブンステージの加藤登紀子へ。加藤登紀子、なかなかよかった。
「ひとの一生が保証されていた時代なんて、古今東西どこにもない。人生には必ずアップダウンがあるし、安定なんて保証されない。人生の先行きはいつだって暗い。だからこそ人生を切り開き、よりよい生き方を探すことがだいじだ。いまは暗い時代、先が見えない時代だと言う。けれど、逆に言えば安定に安住しないですむ時代、積極的に未来を切り開くことが出来る時代だ。若いひとたちには恐れず、知恵と勇気で自分たちの未来を築いていって欲しい」
たしかそんなことをしゃべっていた。加藤登紀子、いいこと言うなー。そうだ、その通りだ。その直後、「ここにいるひとの半分はホームレス」発言は、自分でも苦笑していたけどね。
そのあと歌った「百万本のバラ」、とても良かったです。CD買おうかな。

加藤登紀子のあとはグリーンステージに戻ってアジカンを見る予定だったが、ネームバリューから言っても大観衆が予想された。クロマニヨンズの状況になる様な気がして、パス。そのままオレンジに戻り、オレンジ後方の土手にシートを引いてまったりする。
気がつけば、そのまま横になって寝てしまっていた。頭のすぐ横を大勢の人の靴が踏んづけていったが、ゼンゼン気がつかなかった。
矢野顕子の途中までオレンジにいて、夕方からアバロンステージに山口洋を見に行く。それまで気がつかなかったが、アバロンはいちめん草原の斜面にある。草の上に腰を下ろしてアコースティックなライブセットを見るのは気持ちがいい。途中でマイクトラブルもあったが、とてもここちよい、夏の夕暮れにふさわしいライブだった。

すっかり日の暮れてまっくらな歩道を歩き、ヘブンに戻る。上々颱風。
正直言って疲れた。午後からはヘブンとオレンジ周辺しか歩いていないが、それでも相当歩いている。ヘブンの地面は土と泥で、腰を下ろして休むこともままならない。
上々颱風のステージが始まった。ぐいぐいと引っ張っていく、強力なドライブ。強力なコーラス。とても6人編成とは思えない、分厚いリズムとハーモニー。
感動しましたよ。ええ。
最後の「レット・イット・ビー」。ボーカルのひとりが「ちょっと!係員さん!」と、ステージ下の警備を呼びつける。「おんぶして!」そう言うなり、警備におぶさり、ステージ最前列の柵の上に立ち上がる。彼女とともに、全員がいつまでもレット・イット・ビーを歌い続ける。
感動的なステージでした。

そのあと「オールナイト・フジ」をちょこっと見て、この日はおしまい。
途中、入場ゲート手前の水場で顔を洗い、歯を磨く。
トイレも歯を磨くのも顔を洗うのも、すべて行列。でもふだんとちがい、ふしぎとイライラしない。人が多いことが、むしろワクワクする。
テントに戻ろうとすると、案の定、自分のテントを見失う。
そりゃそうだ。行けども行けども、同じデザインのコールマンのテント。
探すこと30分。ようやく自分のテントを見つけ、シェラフに潜り込むとあっという間に眠った。

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