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2006年6月13日 (火)

結婚式に気をつけろ!

で、その友人の結婚式でのこと。
円卓に座っていると、だいたい両家のご家族が飲み物を注ぎに来るでしょ。
「初めまして。○○夫のおともだちの方ですか。○○子をよろしくお願いします」とかごあいさつされて。
こっちも腰を浮かせて「やや、どうもどうも、こちらこそよろしくお願いします」と返事して。
で、あとでまわりのひとに「ねねね、いまあいさつしてくれた方はどなた?」とか聞いたりして。

AAメンバーにとって悩みのひとつは、宴席でアルコールをいかに断わるか、だ。
今回も、乾杯のシャンパンは難なく乗り切った。乾杯の発声とともにシャンパングラスを掲げ、数秒間空中にホールドしたのちに、テーブルに置いて拍手をする。その後、ウェイターさんが来たらすぐに下げてもらう。下げてもらわないと、両隣に「何で飲まないの?」と聞かれて、無用な言い訳をこしらえるハメになったりする。

乾杯を乗り切ってしまえば、あとはウーロン茶かジュースを飲みながら料理を食べていればいい。飲み物を注ぎに来るひとがいても、ウーロン茶を飲んでいる者に無理やり酒を勧めることはまずない。
今回もそういうワケで、乾杯が終わったあとはスピーチを聞いたり両隣の同期と話をしたりしていた。

披露宴が中盤にさしかかったころ、和服を着た年配の女性がやってきた。新婦の母だと自己紹介をする。あいさつのために腰を折り、そのままぼくの飲みかけのウーロン茶に飲み物を注ぎ足す。とくに何を飲んでいるかは聞かれないので、もちろんウーロン茶だとばかり思った。
新婦の母親が注ぎ足してくれたグラスはそのままテーブルに置き、しばらく経ってから口を付けた。

・・・しまった・・・・。
ビールだ。

さいわい口の中に入れただけだ。飲み込んでいない。は、早く口から出さなければ。。。
しかし左右に着飾った紳士淑女が居並ぶ中、まさかグラスにペッするワケには行かない。
あわてて立ち上がり、トイレを探す。トイレ。トイレトイレトイレ。。。が、えらく複雑な構造の建物で、会場の出入り口がわからない。つい1時間前に入ってきたばかりなのに、どこから自分が来たのか分からない。
口にビール交じりのウーロン茶を含んだままウロウロしていると、いつのまにか厨房に出た。左右を見渡すが、やはり廊下へ出るドアは見当たらない。自分がパニックになりつつあるのを自覚する。仕方ない、厨房の流しにペッするか。
厨房に駆け込もうとすると、式場の女性が出てきた。
「お客様、どうかなさいましたか?」
ヒッシの形相で自分の口を指さし、吐き戻すしぐさをする。なにせ口を開けたら中身が出てきてしまうので、しゃべれない。
そうこうしていると、式場の女性はすっと紙とペンを差し出した。おお、ありがたい。
自分は酒が飲めない人間で、知らないうちに飲み物に酒を混ぜられてしまった。急いで口の中のものを吐き出したい。
そう言う内容のことを殴り書きして相手に差し出す。
すると式場の女性はにっこり笑って、すぐ背後のドアを開けてくれた。ドアの外にはさっき通り抜けてきたろうかが見えた。その先にはトイレがある。おお、ありがたい。

トイレに走って行き、洗面台で口の中のものを吐き出す。何度もうがいをする。
一滴のアルコールも身体の中に入らないように祈りながら。

久しぶりに口の中に入ったアルコール。
気味が悪い、としか感じられなかった。まるで冷たい濡れた爬虫類を突然口の中に押し込められたような、そんな不快な感触だった。
AAにつながる前、ぼくはアルコールと心中するしかないと思っていた。
でも今回、ただただ一刻も早くそれを口から出してしまいたいとしか思わなかった。
冷たい、見知らぬ爬虫類でしかなかった。

ほんとうにアルコールは巧妙だ。巧妙で不可解で、強力なもの。
ぼくはアルコールに対して無力だ。いちど飲んでしまえば、破滅するまで飲んでしまう。
だからこそ仲間とともに、飲まない生き方を探している。ミーティングに行き、サービスに関わり、プログラムを実践しようとし、自分のソブラエティを少しでも伸ばそうとする。
それでもふとした拍子に、アルコールは忍び込んでくる。
考えてみたらぼくも、断りもなく酒を注がれるはずがないとアタマから思い込んでいた。油断があったのかも知れない。酒が止まってすぐのころは、宴席では酒を注がれないよう細心の注意を忘れなかったのに。

ぼくはアルコールから逃げ切ったわけでもないし、依存症が治ったワケでもない。お酒を飲まない生き方を続け、延ばさなければ、すぐにアルコールに追いつかれてしまう。飲み込まれてしまう。
その夜はミーティングで、今回のアクシデントのことを話せた。話して、動転した気持ちがやっと落ちついた。
やれやれ、しかし、ホントにショックでしたよ。

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コメント

乾杯のシャンパンのやり過ごし方、参考になりました。
でも、ビール入りのウーロン茶、「ごくっ」って飲み下さなくて
本当によかったですね。
私は当分は結婚式はないのですが、夏に初盆で田舎に帰るので
気をつけたいと思います。
断酒していることは周りに言ってあるのですが、酔っ払った従兄弟
たちにこっそりお酒を入れられることも想定して、「においをかいで、口に含んで、それから飲む」ようにしたいです。

投稿: ふぇね | 2006年6月15日 (木) 16:06

こんばんは、ふぇねさん。
いやー、焦りましたよ。ビール入りウーロン茶。
お酒が止まって以来、はじめての珍事でした。
ふぇねさんのおっしゃるとおり、宴席では飲み物に気をつけた方がいいと思いました。
こっそりお酒を入れそうな従兄弟がいらっしゃるんですか。た、たいへんですね・・・。
ぼくの方はさいわい(?)そういう親戚はいませんが、今回のことで教訓を得ました。これもハイヤーパワーなのかも。
ところでふぇねさんのブログ、おもしろいですねー。
「いかスミだたこスミだ」ってタイトルも個人的にツボです。ちょくちょく見てますよ。

投稿: カオル | 2006年6月16日 (金) 00:39

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