アイデン&ティティ
録りだめしてて見ていなかったビデオを少しずつ見ている。
ずいぶん前にスカパーで放映した、映画「アイデン&ティティ」。原作、みうらじゅん。脚本、宮藤官九郎。監督、田口トモロヲ。
正直、あんまり期待していなかった。イカ天やバンドブームの頃を舞台にした、中央線沿線のアマチュアバンドマンの物語。ふーん。ま、録画しておいて時間があまったら見ようか・・・というくらいだった。
これがね。いいの。アアタ。
ぜんぜん期待しないで見た映画がスゲー良かった経験てあるよね?
まさにこの映画がそれ。
映画の最初は、中村獅童演じるボーカリストもわざとらしくて、ノれなかった。主人公とそのバンドの面々がわざとらしくダサくて、魅力を感じなかった。
けど、映画が進むに連れて彼らは不思議な魅力を放っていく。
世界に受け入れられている感覚がなくて、つぎつぎとファンの女の子たち(これが、いかにも当時いそうな感じなのよ)に手を出す主人公。
地上から少し浮き上がった感じの、しっかりしているけれど現実に流されないガールフレンド。
人柄はいいけど腕がイマイチなメンバーをクビにしようかと悩んだり、売れ線とロックスピリットの間で悩んだり。
主人公にしか見えないボブ・ディランも、登場したときは「?」と思ったけど、要所要所でつぶやくディランの歌詞がじつに深くて、イイ。
やがて主人公は自分のめざすロックと現実との間に引き裂かれる。三文週刊誌のインタビュアーに突っかかっていったり。愚直に自分のロックを追及すればするほど現実世界と摩擦を引き起こす。
この辺、何だかとても共感が持てる。
最初はパッとしなかった主人公が、中盤を過ぎるとやたらカッコよく見えてくる。優しいんだけどときどき狂ったような情熱が宿るのがイイ。
この主人公、峯田和伸さん。
どっかで聞いたことがあると思ったら、おお!銀杏BOYZのボーカルのひと!
とてもいい曲を書くアーティストだ。ちょっと下ネタが多いところなんかも青春ぽくてイイ感じだ。「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」に入っている漂流教室って曲は名曲だとぼくは思っている。
そうかそうか、銀杏BOYZの彼だったか・・・。
映画の最後、ライブハウスで主人公はつぶやく。ロックとは、自分らしくあること。
そう。卑屈にならず、流されず、かといって独りよがりにもならず。自分らしくロックでいたいものです。
keep on rockin' in this free world.
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