あるスタッフの退職
フロアのスタッフが退職した。
フロアの一つのチームリーダを担当していた女性だ。ぼくより2つ年上。
退職が発表されたのがつい先週。それからわずか1週間足らず。きょう各部署にあいさつ回りに来ていた。
有能な女性だった。
淡々と仕事をこなしていた。意見を求めるとつねにハッとするような的確な指摘をしてくれた。彼女のおかげで違う視点が得られ、プランを変えたこともたびたびあった。
そう言う彼女が、突然の退職。
ぼくには分からなかったが、いろいろ悩みはあったようだ。
彼女が束ねるフロアはまだまだ古い体質が残っていた。言われた仕事だけやっていればいい。積極的に情報発信なんてしない。そういう雰囲気が残っていた。コミュニケーションの少ない、風通しの悪いフロアだった。
彼女自身、フロアメンバーに動いてもらうのがあまりにもたいへんなため、自分でさっと動いて済ませることが多々あった。そういうことが余計に周囲のやっかみを助長し、彼女を疲れさせたのかも知れない。
トップも今回の彼女の辞職には悩んだようだ。でも、辞めて行くのを止めることはできなかった。
できれば残って欲しかった。
新年度の新体制をいっしょに支えて欲しかった。
ぼくは彼女にほんとうに感謝している。
ほかのスタッフとは違い、彼女はプライベートな話はいっさいしなかった。純粋に業務のことしか話さなかった。
それでも彼女の有能さと顧客に対するこまやかな心遣いは、とてもありがたかった。安心して仕事をまかせられた。
あいさつ回りにぼくの部署に立ち寄ったとき、ぼくはおせんべつを渡してお元気でとしか言えなかった。
彼女に感謝の言葉を言うべきだったと気づいたのは、きょうのミーティングの最中でだった。
どうしてこんなたいせつなことを、あとになって思い出すんだろう。
Nさん、いままでほんとうにありがとうございました。
あなたの意見に助けられたことが何度もありました。おかげで判断間違いを何度も回避できました。
いっしょに仕事が出来て、とても楽しかったです。
ありがとう。いつか、また会いましょう。できればまたいっしょに仕事しましょう。
その日まで、どうかお元気で。
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