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2005年9月15日 (木)

ロッド・スチュワートさん

スカパーのヒストリー・チャンネルでロッド・スチュワートの伝記番組を見た。
ロッドといえばピチピチのレオタードで「アイム・セクシー」を歌う、こっけいなくらいのスター像か、さもなくば「セイリング」を歌うR&Bリスペクトシンガーか、どちらかの印象だった。
けど短時間に凝縮したこの番組を見ていたら、ほんとうに音楽が好きな人だなぁというのが良く伝わってきた。
いくつものバンドを経て、そのたびに挫折を味わい。
なにかにのめり込むようにブロンド美女を取っ換え引っ換えし、出会いと別れを繰り返し。ついでにあちこちで子どもを産ませ。
女ったらし。あきれるくらいの大金持ち。ハデなオープンカー。
それでもいやったらしい印象が湧かないのは、持ち前の無邪気さのせいか。

ぼくがロッド・スチュワートを覚えているのは、「ヤング・アット・ハート」(だったか)と言うシングルだ。
たしか、燃えろ青春とかいうベタな邦題がついていた。
でもそのビデオクリップでは、楽しそうに歌い踊るロッドの姿が、とてもとても輝いていた。
夕日をバックに軽やかにくるくる回り、例のしゃがれ声でサビを歌うロッド。
それはロックのすばらしさ、自由であることのすばらしさが伝わってくる、とても良いビデオクリップだった。
カメラ目線でこちらに微笑むロッドは、そんなつまらないまいにちならこっちへ来いよ、そう言っているかのようだった。
そのクリップを録画して、何度も見たことを覚えている。ほんとうに、できることならぼくはそのロッドの世界に行ってしまいたいと思い続けていた。

ロッドが表現者として優れている点は、とにかく楽しそう、と言うことに尽きる。
スポーツカーを転がしてもバラードを歌ってもロックナンバーを歌っても、彼はとても楽しそうだ。
人生のすばらしさ、自由に生きることの魅力。
彼は虚構の向こう側から、こっちへおいでと楽しそうにいざなう。
それはロックの、ポップミュージックの、とても重要な側面だ。

とにかく、好きだなーロッドさん。
顔にはしわが増え、四捨五入して60歳と言う年齢は隠しようもない。新しい曲は声に腰がなくなってきたような気もする。それでもロッドさんらしさを失わずにがんばってもらいたいものです。
むかし「佐粧妙子最後の事件」のエンディングだった「レディ・ラック」もいい曲だったな。
またいつか、ロン・ウッドのギターをバックにすてきな歌を聴かせて欲しい。

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