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2005年8月22日 (月)

MTVが見たいなり

大学を出たあと、資格試験に落ちて1年間浪人していた。
実家の茶の間で参考書を広げて勉強していると、だんだん気持ちが荒んでくる。
ただでさえ「いい年して浪人」と言う屈辱感を感じているのに、ひとりで参考書に向かっているとどうしようもない孤独感とフラストレーションが沸き上がってくる。
こういうとき、ヘビーメタルとかラップミュージックとか、アグレッシブでエッジの効いた音楽がぴしぴしと身体に入ってくる。
それまではヘビーメタルなんて馬鹿にしてて聞かなかったけれど、この1年間だけは集中してヘビーメタルを聞いていた。
メタリカ。メガデス。アンスラックス。ドッケン。ハロウィーン。ナパーム・デス。デス。カーカス。パンテラ。
とにかく、ヘビーメタルだったら何でも良かった。
不安を煽るような半音進行のリフと地獄のようなツーバスのドラム。シャープなギターとデス声のボーカルをヘッドホンで爆音で聴いていると、我が身のやり場のなさが世間や社会といった抽象的なものへの怒りに変わっていった。それが心地よかった。

この浪人の1年間は、何とかアルコールがそれなりの正常範囲にとどまっていた期間だった。たまに両親が旅行に行った時などは連続飲酒に突入したけれど、おおむね夜中に部屋で飲む程度にとどまっていたし、両親にもばれなかった。
この1年間で「やめる気になればいつでもやめられる」と錯覚しちゃってその後はたらきはじめてからの失敗につながるんだけど、それはまた別の話。

で、その浪人の1年間、実家でMTVを見まくった。
60年代や70年代の貴重なロッカーの映像から、当時の最先端のバンドの映像まで、山ほどのロック映像がひっきりなしに流れていた。ちょうどアンプラグドがブームになっていたころで、キッスのアンプラグド映像やニルバーナのアンプラグドも見た。日本のインディーズもかなりかかってて、暴力温泉芸者なんてバンドのクリップまで流れていた。
番組の合間合間に流れるCMも洗練されていて、まるで日本じゃないみたいだった。
参考書を眺めるのに飽きるとぼくはテレビをつけて、ブラウン管の向こうのロックの世界にすこしでも近づこうとした。
そこはキラキラしていてスタイリッシュで、ヘビーメタルの長髪までオシャレに見えた。何よりも、ロックの持つ自由さをとても魅力的にディスプレイしてあった。
ぼくは何時間も、その世界に見入っていた。
ディランの貴重な映像も見れたし、グーグードールズやソウル・アサイラムといった良質のバンドを知ることもできたのも、そのMTV漬けの1年間のおかげだ。

もういちど、MTVを見たいと思う。
ノスタルジーもある。けれどそれ以上に、サマソニで見つけたすばらしいバンドたちが自分たちの音楽を映像でどう表現してるのか見てみたい。いや、それよりも、いまはじけている若いバンドが歌い、演奏する姿を見てみたい。
なまいきなガキどもが、不安と希望を胸に、ありったけの自己表現をしているのを見てみたい。
反抗と理想の狭間で悩んだり傷ついたりしながら、いっしょうけんめいバンドに打ち込んでいるのを。
メジャーだのマイナーだのを問わず、世界中のロッカーに共通する、なにか。
だって。たぶんそれがロックの本質だと思うから。ね。

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