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2005年5月22日 (日)

The clash〜理想と青春〜

青春パンクがいただけない。
青春は大賛成だ。パンクも大賛成だ。青春のエネルギーのありったけをバンドに費やしている少年たちには大賛成だ。それがパンクロックならなおよし。全面的によし。
しかし。ちょっと待て。青春パンク。ちと安易過ぎやしねいかい。
ディストーションギターをかき鳴らしテンポの速いエイトビート、ベースはひたすら8分音符。童謡みたいなメロディでひねりのない歌詞をがなる。
最初はそれでもいいんだけど、まずはこの、青春のありったけを燃やし、反逆ののろしを上げてメッセージを叫び、ついに挫折したバンドを聴いて欲しいよ。そしてちぃっとでも「パンクって何だろ?」と考えて欲しいよ。
パンクとは、いやロックとはなにか、ってさ。

クラッシュを最初に観たのは、1981年の来日公演のテレビ放映だった。
なぜかNHKでライブを放送した。ビデオテープに録画した。なんどもなんどもそのビデオを見返した。
何度見ても、その衝撃は変わらなかった。
針金のように痩せた4人の若者たち。汗だくでギターをかき鳴らし、歌を歌う。
正直、あまり上手くない。いや、上手くないといったら語弊がある。彼らがやろうとしている音楽の高度さに、演奏技術が追いつかないのだ。16ビート、ダブ・サウンド、レゲエ、50'sっぽいロックンロール。
オーディエンスを挑発し、ステージを駆け回り、歌い続けるジョー・ストラマー。ギターを弾く姿が恐ろしくカッコいいミック・ジョーンズ。
たしか字幕で、歌詞の対訳が付いていたような記憶がある。良く分からなかったけれど、london callingが核戦争のことを言っているのがおぼろげに分かった。核戦争が宣言された町に住んでいる男の歌だ。
あとで友だちからレコードを借りて歌詞を読んだ。
半分以上何を言いたいのか分からなかったけれど、体制に抑圧されることへの怒りが良く伝わってきた。

クラッシュは青春と理想主義のバンドだ。
ライブのあと、押し寄せるファンにいちいちていねいにサインを書き、いっしょに写真を撮った。スターダムとかステイタスとか、いっさい無縁のバンドだった。
london callngは世紀の名盤だが、2枚組だった。彼らはこれを「これは1枚のアルバムだ、2枚組の値段で売るな」と言う姿勢を貫いた。不利な契約を飲まされたのだろうか、その結果、このアルバムは世界中で評価され売れに売れたにも関わらず、彼らにはそれに見合うだけのお金が入ってこなかった。
それでも彼らは何も苦にしていなかった。体制を挑発する曲を作り、実験的なサウンドを取り入れ続けた。
rock the casbahではピアノを大々的に取り上げた。ファンキーなピアノをバックに、アラブ世界のことを挿話的に歌う。straight to hellはエスニックぽい太鼓にジョーの悲しげな歌声がひびく。
考えてみたらクラッシュがエイトビートの典型的パンクをやっていたのは1枚目だけだ。それ以外は、とにかくさまざまな方法にトライしていた。まさに「パンクはスタイルじゃない、アティテュードだ」と言う彼らの姿勢そのもの。

彼らは理想主義者だった。理想を追い求め、妥協することを拒んだ。
理想は現実にぶつかり、砕け散った。
クラッシュは解散し、メンバーはさまざまなバンド活動をしたがついにクラッシュを乗り越えることはできなかった。
ボーカルでありフロントマンのジョー・ストラマーは2002年の12月22日に心臓発作で亡くなった。
享年50歳。
早朝に犬の散歩から帰ってきてイスに座り、そのまま静かに息を引き取ったという。彼らしい、と思う。

たまに書店でロック雑誌を手に取ると、ジョー・ストラマーやクラッシュの写真に出会うことがある。
レニー・ケイの撮ったすてきなロック写真の数々。
ジョーは、クラッシュのメンバーは、時を超えて写真の向こうからこちらに語りかけてくる。
ギターを構え、世界を挑発するかのごとく不敵な笑みを浮かべて。
この若者に会うことはもうないんだ。でも彼が残したメッセージは世界中にばらまかれた。
それはたしかに、ぼくの胸にも突き刺さったままだ。

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