Spitz、少年のきもち
スピッツについては最初から書こう書こうと思いながら、とうとう1年が過ぎてしまいました。
Spitz。
「ロビンソン」「渚」「チェリー」など数々のヒット曲をかっ飛ばす、永遠のJ-popの良心。
最初はもうキライでしたよ。ええ〜そりゃもう大嫌いでした。
甲高い声。意味不明の歌詞。何よりも優等生ぶった害のないサウンド、人畜無害のさわやかさが、どうしようもなくパンクスピリットの逆鱗に触れまくり。
それでも「チェリー」だけは好きだった。いちど研修先の目上の人に誘われてカラオケに行き、ふたりで何度もこの曲を歌った記憶がある。良い曲だなー、良い曲ですよねーとなんどもうなずきながら。
本格的に聞くようになったのは数年前。
Amazonのディスカウントコーナーで「recycle」を衝動買いしたのがきっかけだ。
ファンやメンバーには非常に受けの悪いこのアルバムも、Spitz初心者にとってはまさに入門編として最適な、無難なベスト曲集だ。
空も飛べるはず、涙がキラリ☆、夢じゃない、きみが思い出になる前に。
まさにヒット曲中のヒット曲。
で、偏見が吹き飛んだのは、曲をコピーしてみたとき。
コード進行が、じつにシンプルなんだ。こんなコード進行、ギターを弾き始めてちょっと経てば誰でも思いつく。
けれど、その単純なコード進行から、これだけ豊かなメロディラインが生まれてくる。コード進行はぼくでも思いつくけど、このメロディはぼくには絶対に思いつけない。
そう思った瞬間から、リスペクト。
もちろん単純一辺倒じゃなく、豊かなコードワークに基づいた曲もたくさんある。それでも、Spitzの魅力が草野マサムネのボーカルと彼の作る歌メロにあるのはまちがいない。耳に残る、印象的なメロディ。
ぼくと同じ歳のはずだが、草野マサムネはいつまでも少年のようだ。
浮世離れした、永遠の文学少年風のたたずまい。この辺がいつまでも若い女性に受ける魅力のひとつなんだろう。このひとだからこそこのメロディが生まれるんだな。そう納得させられるふしぎなたたずまい。
ぼくはきょうも出勤のクルマでSpitzをかける。ロビンソンやチェリーを、草野マサムネといっしょに歌う。彼ほどきれいに歌えるはずもなく、かすれてて外れた音程しか出てこない。
でも。
音程なんて外れたってかまわない。声がひっくり返ってもかまわない。
ぼくは声の限りにスピッツを歌う。朝日がサイドミラーに反射してきらきら光っている。朝の交差点は大渋滞で、ちっとも先に進まない。あと15分で遅刻だ。それでもこころが浮き立ってくる。
人生も捨てたもんじゃない。そう思える。
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