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2005年5月 3日 (火)

雲ひとつない休日

いいお天気の休日だった。
雲ひとつない青空。風もなくあたたかい、穏やかないちにち。
遠くに少しかすんで山並が見える。山頂付近の雪はここ数日でかなり少なくなった。
穏やかな休日。
あいにくきょうは朝から宿直。ゴールデンウィークのクルマの流れに混じって出勤。
県外のナンバーが多い。
はるか九州や四国のナンバーのスポーツカー。オープン2シーターの派手なエンジン音。
ワンボックスワゴンの家族連れ。クルマの窓から顔を出す犬。その頭をなでる子どものちいさな手。
以前は憎しみしか湧いてこない風景だった。唾棄すべき平穏。画一的な行動しか出来ない、資本主義社会のうつろな奴隷。
ぼくはアパートの窓の外のすべての人々を憎んだ。
薄暗いアパートから一歩も出ることなく、初夏の連休を連続飲酒して過ごしていた。
ブラックアウトから目が覚めると、汚れたアパートの窓越しに5月の澄んだ青空が見えた。それが朝なのか夕方なのかも分からないまま、ぼくは吐き気をこらえ、アルコールに濁った目でその青空を見つめていた。
涙が流れるのが事故憐憫のせいなのか感傷なのか、何も分からないまま。

職場の窓から外を見る。
かつてとなにも変わらない、良く晴れた連休の風景が広がっている。
行き交うクルマ、汗ばむ陽気、青々とした木々の緑。やけに新鮮に見える若者のTシャツ姿。
自分の中にはもう、その風景を憎む気持ちがない。あのころはいったい何を憎んでいたんだろう?
自分の中の不安や身の置き所のなさを、人を憎むことでバランスを取ろうとしていたのかも知れない。思春期のころの、体中から噴き出すような世界への憎悪が途切れなく続いていたせいなのかも知れない。
分からない。けれど、いまはそんな気持ちがないことにホッとする。

憎もうと思えばどこまでも憎める。
愛そうと思えばきっと愛せる。
この世界は、きっとそんな風に作られているんだと思う。

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