ナルニア国物語
あのナルニア国物語が映画になる。
eiga.com
全7巻のファンタジー小説だ。
近ごろハリー・ポッターや指輪物語が映画化されて大ヒットしていたから、何となく「来るかな?」と言う気はしないでもなかったが。
子どものころ、いちばん好きだった小説がこのナルニア国物語だ。
細かいあらすじは忘れちゃったけど、ドラえもんみたいに引き出しだかタンスだか(たしか洋服ダンスだったような?)を開けるとそこは中世ファンタジー世界に通じていて、子供たちが神話的な登場人物といっしょに冒険を繰り広げる、と言うお話だ。
必ずしも善が勝つとは限らない。悪い魔法使いが言うことにも筋が通っていたり、善悪の区別がつかないような人物が出てきたり。考えさえられる寓話があちこちに挿入されていたように思う。
小学3年生から4年生くらいのときに夢中で読んでいた。当時はSFとファンタジーばっか読んでいたっけ。
光瀬龍とか眉村卓とか。百億の昼と千億の夜。なぞの転校生。
ナルニア国物語は、そんな本といっしょに、夏休みの図書館の片隅で見つけた。
ページを繰る手ももどかしく、借りては読み借りては読み、ほとんど図書館に日参していた記憶がある。
ナルニア国物語と言うと、夏の日差しと木陰と、図書館のひんやりした静かな空気を思い出す。
しかし映画化は往年のファンとしては複雑な気分。
「図書室の隅に埋もれている名作ファンタジー」というのがこの物語のただしいポジションのような気がする。
ハデハデのコマーシャルやキャンペーンは似付かわしくない気がする。
主人公の少年たちはふとしたはずみに別世界に迷い込み、知らず知らずのうちに冒険に足を踏み出す。
それと同じように、ふとしたとはずみに図書館の片隅でこの本に出会い、気がついたらぐいぐいと惹き込まれていく。それがナルニア国物語の正しい読み方のように思うんだけど。
恥ずかしい話だけど、何年かに一度、ナルニア国物語のことをふと思い出すときがある。
眠りに落ちる直前、子どものころのことを思い出しているとき。仕事の合間にふと空を見上げたとき。
そんなとき、いまもあの本は図書館のいちばん後ろの棚で、新しい読み手に開かれるのを待っているんだろうか。そう考える。
ほんの最後には貸し出しのスタンプが押してあって、ぼくが読む前はもう何年間も借りていなかった。でも、ぼくの前の読み手が熱心に何度も読んでいたであろうことは、スタンプの日付が密になっていたことから推測できた。
子どもやこころのやわらかいすべての人たちに、この物語が届くといいな。
しかしこうなると次はアーシュラ・K・ル・グインの「ゲド戦記」かな・・・。
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