桜が雨に打たれていた
きょうはいちにち雨降り。
桜の花が雨に打たれるのを見ていた。
空は陰うつな灰色で、いつもは見渡せる山並みがひどく遠くにかすんでいた。
桜の花は、その風景の中でひどくモノクロに見えた。
たなびく煙と灰色の空と山並み、桜の花と木。
現実と非現実の境目、彼方と此方の間隙、色彩と非色彩の中間。
遠い、遠い、そこはとても遠い場所のように思えた。
桜の花びらも、窓を流れ落ちる雨粒も、雨の国道を走るクルマの音も。
流れる雨といっしょに色彩も流れ去ってしまうような世界。
遠い、遠い、とてもとても遠い場所。
ここにいるぼくたちには想像もつかないような。
そう、ここにいるぼくたちにはとても想像もつかないような。
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