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2005年3月20日 (日)

カミングアウトのとき

きょうは本社トップと会食です。
本社トップは部下が結婚する際にはかならず本人と相手とを招いて、会食の席を設けてくれる。
「(結婚するのは)2回目ですからけっこうです」と一度は断わったんだけど、「馬鹿を言いなさい、あなたは2回目でも相手の方は初めてじゃないの」といさめられた。
と言うワケで、きょうの午後4時から会食。
晩ご飯には中途半端な時間だけど、彼の多忙なスケジュールでは良心的な時間だ。
ちなみにうちの本社トップには「まいにち3時間しか睡眠を取らない」と言う伝説がある。本社トップ本人がそう言って回っているわけではなく、周囲の観察による客観的な事実だ。スケジュールとスケジュールの間の時間が、実際それくらいしか空いていないらしい。いちど取引先の方と話をしていたら、本社トップとアポをを取ったら「1時にお願い」と言われたそうな。当然、午後の1時だとばっかり思っていたら、夜中の1時だったとか。しかも、さらにその面会が終わったあとにもアポ待ちがいたというからおそろしい。
もちろん自宅にはほとんど帰らず、本社のイスで倒れるように眠り、3時間の睡眠の後にがばっとはね起きて仕事の続きを始めるという。
うむー。本社づけじゃなくって良かった・・・。

で、きょうの会食。
ぼくのアルコール依存症の話になるのは間違いない。そもそもいまの支社にも、本社トップからうちのトップに「彼にはアルコールの問題がある。使い物にならなかったらパート待遇でかまわない」と言って回された。ちょうどAA(Alcoholics Anonymous)につながったばかりのころだ。支社に回されてからも何度か再飲酒したけど、どうにか3年と4ヶ月、酒を止めている。
さいきん本社トップともいっしょする機会が多いし、ぼくがアル中のまっただ中でないことは本社トップも何となく分かっていると思う。でも、ぼくが歩いてきたこの4年間のことは知らないはずだ。AAのことも、主治医からずいぶん前に通院終了を言い渡されていることも。アルコールに対して無力を認めたことも、病気を認め、仲間とともにミーティングを歩き、回復の道をたどっていることも。

いよいよ、本社トップに話すときが来た。
いつかこんな機会が来るんじゃないかと、AAにつながったばかりのころ夢想していた。立派に回復して、自分が本社付けの社員に引けを取らない有能な人物だとアピールができる機会を。けっしてみじめなアル中じゃない、まともで価値のある人間だと、胸を張って宣言できる日を。

いまは、そういう気持ち、ない。
ぼくは回復の道を歩き、だいすきな女の子と結婚し、とてもしあわせだ。
それでいい。それでいいと思っている。
本社付けのみなさんのような業績もない。とくに何か専門に秀でているわけでもない。本社にいる同期がみるみる肩書きが上がっているのとは対照的だ。
でもそれでいいんだ。
ぼくはアルコール依存症を認めた。アルコール依存症から回復しているおおぜいの素晴らしい仲間と会った。自分がなりたいと思うような大人に出会えた。仲間とともに回復の道を歩くのは、ドキドキするような冒険の連続だ。苦しいことがあっても試練だと思い、それを乗り越えたときに感謝の気持ちが持てるようになった。そして少しずつタフになった。謙虚さを学び、我を張ることのあやうさを知った。共感と温かさがいかにたいせつかを知った。たとえ相手がどれほど傲慢な人間であっても。
ぼくにとってそれは、何よりもかけがえのない贈り物だ。肩書きなんてなくってもちっともかまわない。本社付けの同期へも、いまはうらやみもなにもない。順風満帆な彼らにはこころからエールを贈りたい。
もしもAAにつながっていなかったら、たとえ酒が止まっていたにせよ、ぼくはちっとも楽な気持ちにはなれなかっただろう。他人をうらやみ、自分のみじめさを哀しみ、満たされなさと空っぽのハートを抱えて、自分と同じような問題を抱えた女性を転々としていただろう。そしてそんな暮らしを続けていれば、まともな生き方なんてとてもできなかったろう。
ほんと、まわりの人たちに感謝したいです。もちろん、いまの支社へ回してくれた本社トップにも。

そういうことを、きょうは時間の許す限り話してこようと思います。ドキドキするな〜。
あ、でも彼女の紹介もしてプロフィールを説明したりもするから、大忙しだね〜。

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