サンボマスターは君に語りかける
サンボマスターをバカにするヤツぁこのオレがゆるさんっ!!
・・・とついいきり立ってしまいたくなる、そんなアルバムです。
まずは何も言わず、上の写真をクリック。
サンボマスター。
しばらく前の朝日新聞にこのアルバムの広告が載っていた。
太った三谷幸喜のようなオッサンが顔をゆがめてギターを弾いている。ベースとドラムも顔をゆがめてポーズを作っている。どう見ても「学生ノリ」。しかもちょっと古めの。
そして写真のとなりには渋谷陽一の推薦文。
し、渋谷陽一・・・・。
エイティーズには見過ごせない単語である。渋谷陽一。サウンドストリート。「こんばんは、渋谷陽一です」という鼻にかかった声。
それはともかくサンボマスター。
写真を見たとき、イロモノかと思った。自らをギャグのネタにするバンドはいつの時代にも存在する。だれがカバやねんロックンロールショーとかね。CDを購入する気はなかった。が、妙にインパクトのあるジャケ写真がこころに焼き付いた。
で。
ふとしたきっかけでCDを購入。イーブックオフだ。なぜかあのジャケットが忘れられず、気がついたら購入ボタンを押していた。
あまり期待せず、しばらくは机の上に放置されていた。
で。
で。。。。
いいいい、いいじゃないのっ!!サンボマスターっ!!
ひたすら疾走するドラム、ベース。かき鳴らすギター。そして三谷幸喜っぽい彼のシャウト。絶叫調と言えば絶叫調だけど、歌メロはかなり良い。キャッチーだ。聞けばすでにアニメのオープニング曲で使われているという。それもふしぎではない、納得の歌メロ。
似ている系で言えばイースタンユース、アジアン・カンフー・ジェネレーション、バンプ・オブ・チキンあたりだろうか。
でもドラム・ベースのグルーブ感、ギターのコードワークやアレンジなど、全体にソウルっぽいテイストもする。
オルガンやホーンを入れたのはアレンジャーの意図だろうか、でもこのバンドの持ち味をうまく引き出している。
ギターもパワーコードでゴリゴリと言うよりも、セブンスがきれいに響くところが印象的だったり。
いや、それよりも何よりも。
このバンドの曲から伝わってくるのは、果てしないリリカルさだ。
だれもが一度は通過する、青春の想いをこのバンドはとても良く表現している。
かっこわるかったり恥ずかしかったりうまく気持ちが伝わらなかったり何とか上手にやろうとして上滑りしてまた失敗したり。
いっしょうけんめい人を好きになろうとしたり。裏切られて傷ついたり。それでもまた夢を見たり。
せつない気持ち。一途に何かを追い求める気持ち。胸が弾んでドキドキする気持ち。そう、ぼくがはじめてパンクロックを聴いたときの気持ち。
聞くものひとりひとりの中のそんな気持ちを記憶の中から引っ張り出してくる、そんなうた。
サンボマスターはルックスが悪い。けっして狙ってやっている訳ではないだろう。でもバンプ・オブ・チキンのようなハンサムくんぞろいのバンドだったら、きっとこのバンドはここまで来れなかったろうと思う。サウンド、ルックス、熱い歌。彼らの曲を聴き、ジャケットの写真を見返すに連れて、ぼくは自分の20代を思い出す。
お金もなく、女の子にまったくもてず、ロックを聴いては酒に溺れていたあのころ。そのころのいろんな気持ちが、このアルバムに共鳴するようによみがえってくる。
曲が似ているとかしょせん絶叫調だとかそんなこたぁどうでもいい!そんなことは、彼らの音楽から伝わってくるエモーションの前にはなんの意味もない、ただの悪態だ!
サンボマスター、ぼくは大好きです。いちどライブを見てみたいな。
それにしても、こんな良いバンドがあるなんて・・・。
| 固定リンク
« CUBASE不調 | トップページ | 本部の研修会 »
コメント