泣かれちゃったよ
トラブルに見舞われたぼくの職場。どうにか混乱はおさまってきたが、まだまだ職場全体ががたがたと揺れている。職員一同、対応に追われる日々。そんな中、今日は全く別のトラブルが。
ぼくの部署で唯一の女性。普段からかなり独特な仕事のやり方で、摩擦を起こしがちだった。そんな折、たまたま彼女が休みのときに、彼女の仕事でトラブルに発展しそうな事例を目にした。彼女から指示をもらった現場から直接、ぼくのところに「どうしたものだろうか」と相談がきたのだ。スタッフから話を聞いた結果、やはり今回は見送ってもらうことにした。で、けさ一番で彼女にそのことを話したのだけど。
あなたにはこれから、その情熱を生かしていい仕事をどんどんやってもらいたい。だからこそ、今回の件でトラブってほしくない。そう思って、あなたがいないときにストップをかけた。でもそれはあなたのやり方を批判したり駄目だと言っているのではない。今の時代、失敗から学べと言えるほど周囲は我々に寛大ではない。失敗すれば必ずあなたも、所属長のぼくも、トップにもダメージがくる。それはいいんだけど(ホントはよくないけど)そんなことであなたにトラウマを負ってほしくない。ぼくもトップも、あなたの資質、才能には期待している。うんと期待している。強い意志と情熱で前に進んでいくやり方に敬意を払っている。だからこそ、今回だけはぼくの意見を聞いてもらえないだろうか。ぼくもかつて、先輩からアドバイスをいっぱいもらって成長できた。だからあなたに、時にはアドバイスをし、成長していってもらいたい。
・・・と言うようなことを、せいいっぱいネガティブな表現にならないように話したのだけれども。
泣かれちゃった。とほほ。
しまいには「私がやることはなんでも、全体に迷惑がかかるんですよね」と言って顔を伏せてしまった。
そうではなくって、ぼくはあなた自分の経験を伝えたいだけなんだ。あなたが結果を急いでがんばる気持ち、努力、情熱はほんとうにたいしたものだと思う。あなたはいま職業人としてもっとも伸びているときなんだと思う。だからこそ、今回の件だけはぼくの提案を受け入れてもらえないだろうか。あなたのやり方を決して否定しているのではないんですよ。むしろ、あなたがその情熱を存分にいかせるように、そう思って今回は待ったをかけたんですよ。
・・・が。まったく聞き入れず。
もともと打たれ弱い彼女。結局、朝1時間ばかりぼくと面接して、それからお昼までずっとロッカーで泣いていた。ううむ。彼女のプライドを尊重して、人に聞かれないように会議室に呼んで話をしたのがまずかったのか。結局、きょうは彼女、一度も現場に入らず。「私はもう今日は何もできません」と言って、お昼過ぎに帰ってしまった。
うわあああんっっ!!!!
もーどーしたらいーのよっっ?!!泣きたいのはこっちだよぅ。うーうーうー。説教調にならないよう、彼女のプライドを傷つけないよう、建設的な提案になるよう、精いっぱい気をつけて、あらゆる刺激的な単語をさけて話をしたのにぃぃぃっっ!!「ダメ」とか「それはやめろ」とかはひとことも言わなかったのにぃぃぃっっ!!あれだけ気を使った話をしたのに、何だって泣いてロッカーに立てこもるんだようようようようっっっ!!!
昼になってトップにも報告。きのう、今回の件で彼女にやんわりとブレーキをかけたいのだが、とトップには話をしてある。失敗しました。思いっきり泣かれてしまいました。自分の言い方が至りませんでした。申し訳ありません。そう報告した。で、トップもいっしょに彼女を捜したんだけど、とっくに帰ってしまったあと。なすすべもなく呆然と立ち尽くすわれわれ。
もー泣きたいッス。いまは部署の人間関係に配慮をしている余裕は、ぼくにもトップにもねぇッス。やらなきゃいけない仕事が山のように積まれているッス。待ったなしの最優先事項が三つも四つも並んでいるッス。それなのに。ああそれなのに。
まー、その後トップも言っていたけれど、先輩に意見を言われたくらいで職場を放棄して帰ってしまうのはいかがなものか。社会人なんだから、出勤してきちんと仕事をして帰るのが最低限のことではないか。それを忘れて現場に全く顔を出さずに帰ってしまうのは、やはり彼女自身の資質に欠けるところがあるのではないか。まーたしかに、うち以外の職場だったらふつうは厳重注意だ。「明日からこなくていいよ」と言う職場だって多いだろう。が、しかし。たとえ甘いと言われようと、ぼくは彼女のそういう繊細な部分を責める気にはなれない。ぼくだって飲んでいた頃は、ちょっとした他人の一言で傷つき、怒り、ふてくされ、酒を飲んでは休んでいた。それでも当時の上司がぐっとこらえて支えてくれたからこそ、いまこうしてなんとかなっている。甘いと言われようとなんだろうと、そういう悩みの時期をくぐり抜けてはじめて成長できるんだと思う。さいわい今日の彼女の業務はなんとかカバーできた。彼女が無断で帰ってしまったことはルール違反だと思うけど、それでもぼくは彼女に期待したい。明日は休んでもいいから、月曜には出社してきてほしい。で、持ち前の気丈さでぼくに突っかかってくるくらいの勢いを取り戻していてほしい。
しかし、部下に意見するのって難しいねー。ぼくも別のロッカー室にこもって泣き暮らそうかと思ったもん。やれやれ。
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