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2004年11月 5日 (金)

好き好き大好き戸川純

戸川純を見てきた。
10月31日の日曜、東京は初台の初台 the Doorsという名のライブハウス。
ぼくは高校生のころからの戸川純のファンだ。が、いままでライブを見る機会はなかった。大規模なツアーをやるひとじゃないし、80年代の彼女はサブカル少年たちのあこがれの的で、とてもライブのチケットは手に入らなかった。
唯一手に入る彼女の映像は、玉姫様のライブほかプロモ数点が収録されたビデオだけだった。ぼくは何度も何度もそのビデオを見ては、戸川純の壊れそうな美しさにため息をついたものだ。ああ玉姫様。ああ蟲の女。「蟲の女」で大きな蝉の羽を揺らしながらステージを歌い歩く彼女は、ほんとうに美しかった。
が、ニューウェーブと言う言葉が時代の表舞台から去っていくのと同時に、彼女の名前もメディアから遠ざかっていった。「昭和享年」などのアルバムが散発的に発表され、それなりにインパクトはあったものの、あの「時代とユニゾンしている」ような不思議なドライブ感は消え去りつつあった。活動が伝えられなくなり、代わりに「精神的に不安定」「奇行が目立つ」などの噂ばかりが遠回しに伝わってきた。そのうちぼく自身、ニューウェーブから次の音楽に興味が移り、戸川純のLPレコードは押し入れの片隅に追いやられていった。身内のご不幸があったりパートナーとの不和があったりと、90年代から2000年代初めの戸川純は不遇だったようである。
そう言うわけで、今回の彼女のライブ。たまたま休暇にあわせて何かライブを見に行けないかと調べていたら、偶然彼女の名前が飛び込んできた。何はともあれ戸川純である。当時の宝島少年たちのアイドルである。坂本龍一のサウンドストリートにゲストで出演して「メガネをかけたり外したりするのに30分かかる」と言われた戸川純である。キュートであぶない魅力満載の、あの戸川純である。これは見に行くしか!

会場は、広くはないが清潔な感じのライブハウスだった。われわれは昼間のシロガネーゼ探索で疲れ切っていた。ただでさえ30代後半にもなると、オールスタンディングのライブはつらい。敬老席でも作ってくれないかと思う。激しく思う。若者は立ちっぱなしでも良いだろうが、40の坂道が見えてきた身には待ち時間も含めると約4時間のオールスタンディングはきびしいのだ。襲いかかる足のだるさと腰の痛みに耐えつつ待っていると、前座の東京中低域が登場。
サクソフォンばかりの7人組である。それも、低音のバリトンサックスばかり。ソプラノは一人もいない。曲は「Take5」だののジャズの定番などらしいが、とにかく低音ばかりなので音がかぶっちゃってて曲がよく分からない。客もどう乗って良いのか(あるいはまったく乗れないのか)とまどっている印象だ。でも東京中低域のみなさん、そんなことはまったく意に介さず、淡々と低音サックスを吹きまくる。「好きでやってます、ぼくら」みたいなじんわりした楽しさが伝わってくる。まったく売れないだろうけど、がんばって欲しいものです。ひとり「ヨンさま」に似た若者がいたのが印象に残った。
で、バリトンサックス7人組が退場したあとはいよいよトリコミ feat. 戸川純の登場。ライブが始まるまでまったく知らなかったんだけど、この「トリコミ」というバンドが、何曲か戸川純をボーカルにゲストとして迎えている、と言うのが今回の演奏形態らしい。てっきり戸川純のバックバンドかと思った。
中低域が帰ったあと、ステージ中央にディレクターズチェアが設置される。そこにインドっぽい赤を基調とした一枚布が置かれる。おお、ニューウェーブの女王を迎えるにふさわしいセッティングである。
ほどなくトリコミのみなさんが登場する。ちょっとおじさんくさいけど上品な感じのドラム。ロリロリしたファッションの女性ベーシスト。そしてさっきの中低域をしきっていた上品な顔立ちの男性がギターを下げて出てくる。この男性がトリコミのリーダーらしい。演奏が始まる。ベースがうなりまくる。女性、しかもロリロリファッションなのにも関わらずベース激ウマ。そんじょそこらの男性ベーシストよりも遙かにうまく、アグレッシブだ。そしていよいよ純ちゃん登場!肩もあらわなドレスに、なぜだか知らないけれども家出少女風のでかいバッグをたすきがけにしている。おお戸川純!これぞまさしく戸川純!ちなみにこの家出少女バッグ、途中で衣装を代えたあともずーっと肩に提げていました。意味不明で良いです。前半ややPAが不調でボーカルが聞こえづらかったけど、後半になるに連れてステージも和み、演奏も良くなってきました。て言うか、演奏が7割で戸川純とトリコミのリーダーの掛け合いが3割。いや、ひょっとしたら4割くらいかな?でもこのリーダー、かなり良いひとです。途中戸川純が「お茶が飲みたくて・・・」と言うと、イヤそうなそぶりも見せずにステージから退場して(おいおい)、ティーパックのお茶を作ってきてあげる。戸川純の意味不明のおしゃべりも、遮ることなく「はいはい」と聞いてあげている。えらいぞトリコミのリーダー!えーと名前、水谷紹さん!
ステージは戸川純のボーカル曲、詩の朗読、水谷紹氏がボーカルを務める曲、とバラエティに富んだ進行。そこに水谷氏と戸川純の掛け合いともぼやきとも雑談ともつかないMCが入る。ので、思ったほど戸川純のボーカル曲は多くなかったです。戸川純ソロの曲は一曲もなかった。それでも、とっても良いライブでした。純ちゃん、相変わらず何言ってるかよく分からないしダメダメ人間っぽいんだけど、一度歌い始めると、まるで二重人格のように、あの鬼気迫る孤高のパフォーマーがよみがえってくる。ジョン・レノンの「コールド・ターキー」のカバーは鳥肌が立つくらいかっちょよかった。
トリコミの水谷氏の歌も良かった。デビッドボウイの「ロックンロールの自殺者」やジョンの「アクロス・ザ・ユニバーシティ」のカバーを聞いていると、「ああ、この人はほんとうにロックや歌が大好きなんだなー」とほのぼのと共感がわき上がってきたよ。トリコミ、良いバンドです。純ちゃんとの相性も良いし、また見たいな。「アクロス・ザ・ユニバーシティ」での、突然の中低域との競演もサプライズしてて、ほんと楽しかった。中低域も含めると3時間の長丁場だったけど、ほのぼのと楽しい一夜でした。
それにしても純ちゃん、眉毛剃りすぎるとおっかないよ・・・。

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コメント

つい一ヶ月前に
同じところに行きました。>初台ドアーズ
まぁ、私は元有頂天のケラのライブですが。
って、似たようなもんですね(笑)
因みに私はウッカリ早い整理番号のチケットを手にしてしまった為、
気が付いたら1番前でコブシ振り上げてガンガン踊ってました。
更に因みに、私はカオルさんより年上です。
ヤバイヨね。・゜・(ノД`)・゜・

戸川純の「諦念プシガンガ」は
今でも私のカラオケの十八番です。(W
生で見たことはないですけど。

あ、別コメントで
センちゃんの退院お祝いありがとうございました♪
今は元気に友人宅でオシャベリしまくってます。
ペットは元気が一番ですよ!

投稿: otama | 2004年11月 8日 (月) 22:45

いつもありがとうございます。センちゃん、元気になって良かったですねー。うちの実家でも子猫を飼い始めて「動物ってやっぱり良いよなー」と再認しているこのごろです。初台ドアーズ、いいライブハウスだと思いました。ステージも広いしきれいだし。有頂天は、なぜか聞かずじまいでしたねー。かなり流行ってたのに、なぜだろう?ぜひ今度きいてみようっと(引っ越しが済んだら)。コブシ振り上げて踊り狂う!おお!イッツ・パンクスピリットなり!
otamaさんがんばれー!
otamaさんがんばれー!!

投稿: カオル | 2004年11月11日 (木) 16:36

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