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2004年9月11日 (土)

チャーシューをいつ食べるかモンダイ

英語の試験を受けに行ったときのこと。
ふだんは職場でお昼を食べるんだけど、この日は早めに職場を出発して途中で外食をすることにした。それほどお腹にもたれずできれば値段も安いもの。そう考え、自然と職場から数分のラーメンチェーン店へ。
「節系しょうゆラーメン」なるものを注文。想像するに、かつお節ベースのしょうゆ味ラーメンだ。
思うんだけど、チェーン系ラーメン店って、あんまり美味し過ぎてはいけないのではないか。あくまで明るく、清潔で、子ども連れでも安心して入れ、だれの口にも合う。最大公約数的な方針を考えると、あんまりアバンギャルドを狙ってはいけない。クルマで言えば「営業用の白いワゴン」と言うあたりだろうか。
で、そんなことを考えながらぼうっとしているとラーメンが運ばれてきた。おお、大ぶりのノリが2枚か。そうかそうか。その上に刻みネギが乗っているのか。そうかそうか。
ラーメンの丼の上を見渡し、椎名誠風にいちいちうなずく。
チャーシューは薄切りのものが2枚か。そうかそうか。あんまり分厚いとスープがなじまないからね。そうか、2枚か。・・・・んんッ?!!
メニューには、メニューの写真には、たしかにチャーシューが3枚写っている!そそそそそそれが、いま眼前にある同じ商品にはチャーシューには2枚しかッ!ここここ、こ、これはいかがなものかっ?!!
悲しみと怒りが入り交じった気持ちが、夏の入道雲のようにもくもくとわきあがっていく。
考えてみてほしい。
自動車を購入して、写真ではタイヤが4本写っているのに実物は3本しかなかったらどうなるか。たいへんなことになるではないかッ!大事故につながるではないかッ!!!
パンパースを購入してきて、写真では固定テープが3本写っているのに実際は2本しかなかったらどうなるか。取り返しのつかないことになるではないかッ!!!
ギターを買ってきて弦が3本しか張れなかったら・・・あ、もう良いスか?
とにかく、チャーシューは2枚しかなかった。くどいようだが写真では3枚写っていた。
意識せずとも、自分の肩が見る見るうちにガックリと落ちて行くのが分かる。おのれ、我が身になんの恨みがあってこのような仕打ちを・・・。振り返りざまにややヒクツな目で店員をにらむが、もちろんまったく気づかれず。
消沈した気持ちでハシを取り上げ、麺をすすり始める。
それにしてもズルズル。アレだねズルズル。チャーシューをいつ食べるかと言うのは、永遠の疑問だねズルズル。じゅー(スープを飲む)。
ラーメンの丼と対峙したときにいきなりチャーシューをまるごと口に放り込むひとはいないだろう。ジャイアント馬場で言えば、試合開始とともにいきなり十六文キックを繰り出すようなものだ。あまりにも唐突である。必殺技には、それなりの場の盛り上がりが不可欠なのだ。
「いえわたしはまずチャーシューからです」「上の具をぜんぶ最初に平らげてから麺に行きます」「最初にチャーシューは箸で窓の外に外にほうり投げてしまいます」そういうひともいるかも知れない。そういうひとはそのまま生きて行っていただきたい。そのまままっすぐ、人生を歩み続けて行っていただきたい。まーっすぐ歩いて行って、電信柱にぶつかって、痛みにうずくまりながらにじんだ夜空をにらんでいただきたい。
とにかく、99%のひとはいきなりチャーシューを食べ始めたりはしないだろう。
まずはスープをひとくち。いやふたくち。調子に乗って3口、4口。それから麺に突入。合間合間に、リズミカルに具を挟む。メン、メン、シナチク。メン、メン、ノリ、スープ。メン、メン、ナルト。メン、メン、タマゴ。スープ。こうしてリズミカルに食べ進みながら横目でチャーシューをにらみ、食べるタイミングを人知れず画策するのだ。
チャーシューが2枚あった場合、中盤でまず1枚。終盤で1枚。やはりこれが王道だろうか。メンもスープもすっかり空にしてしまってから、最後に冷たいチャーシューを食べるというひとはこの世界には存在しない。
「いえぼくはいちばん最後にチャーシューです」「わたしはメンとスープだけを食べて具にはいっさい手を付けません」「食べ終わったときに具が最初の状態で底に沈んでいるのが最高です」「いちばん最後に箸でつまんで窓から外にほうり投げ、タイヤで3回ひいてから席に戻ります」窓から放り出すのは止めなさいって。とにかくそういうひとはそのまま生きて行ってかまいません。そういう人生をまーっすぐ上を向いて歩いて行ってかまいません。ずーっとずーっと歩いて行ってドブにハマって、痛みにうずくまりながらにじんだ夜空を見上げていただいてかまいません。
そういうことをショージくん風に考えながら(考えと言うよりは妄想ですね)節系しょうゆラーメンを食べ続ける。チャーシューが2枚なら2枚で仕方がない。2枚なりに作戦を立てるほかにない。店員を恨んでも仕方ない。スープに指をひたして、テーブルに「怨」という字を書いても仕方ない。や、書きませんけど。
がっ!!なんと!!ほとんど最終盤、最後の一切れのチャーシューを箸で持ち上げたところっ!!
ななななな、なんと!1枚だとばっかり思っていたうすーいうすーいチャーシューが、実はくっついた状態で2枚あるではないかっ!!がーん!やはりチャーシューは3枚であったか!!はうっ?!
ううう・・・・してやられた・・・・。
最初に良く確認してから食べ始めるべきであった・・・。おのれ、2枚と見せかけて相手を落胆させ、作戦を切り替えた後に逆襲する戦略であったか・・・。
失意のうちにラーメンを食べ終える。
ちなみに味は、かつお節がいかにも粉末風であったことをのぞけば、十分に合格点を授与できるものであった。
試合に勝って勝負に負けた、か・・・ふっ。

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