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2004年7月 6日 (火)

オニを飼うの、やーめた!

「自分たちに不当なことをした人たちは、多分、スピリチュアルに病んでいるのだと考えた。彼らのやり方は気に入らず、私たちにおおいに反感を抱かせたが、彼らもまた私たちと同じように病んでいるのだ」(「アルコホーリクス・アノニマス」通称BB:Big Bookより)

例の先輩の話のつづき。
ビッグフットで作った棚卸し表には、トップにその先輩の名前が入った。
もちろん彼と同じ職場で働くようになったのは酒が止まってからだから、厳密には飲んで傷つけたひとの表には入らないかも知れないし、どちらかと言えばぼくが傷つけられたと言う気がするし、彼よりももっと先に埋め合わせをしなければならない人たちは大勢いた。
それでも、彼がいまの自分にとっていちばんのこころの重荷であることには間違いがなかった。だから棚卸し表にはまっさきに彼の名を書き込んだ。
「私たちは、過去の自分自身の行為を振り返ってみた。私たちはどこで自分勝手であり、不正直であり、思慮を欠いていたか。だれを傷つけたか。不当な理由なく嫉妬、疑惑、反感を他人に抱かせなかったか。自分はどこで誤ったか、その代わりどうすべきだったか。こうした事柄をすべて紙に書き出して、見つめてみた」(BB)
棚卸し表のうち、恨み(怒り)、誤ったプライド(高慢)、恐れ、が当てはまった。
彼の高慢に対して腹を立てていたし、自分をもっと尊重してくれても良いんじゃないかと思っていた。そして何よりも、恐る恐る話しかけているのに大きな声を出されるのが何よりもこわかった。だから次第に彼を遠ざけ、朝夕のあいさつ以外には言葉を交わさなくなっていた。
もちろん客観的に考えてもぼくの問題ではなく、どちらかと言えば彼の側の問題のような気もする。でも、ぼくが彼に腹を立てていて、プライドを傷つけられていたと感じていたのは間違いがないことだった。そしてそれはぼくの気持ちの中にくさびとなって打ち込まれていた。ここ数ヶ月、そしてここ一ヶ月はとくに。
だからぼくは、こころのパイプ詰まりを掃除する必要性を感じていたんだ。
「私たちは道路の自分の側の掃除をするためにやってきたのだ。掃除が終わるまでは私たちは何一つ有意義なことはできない。(中略)したがって話は相手の欠点ではなく、自分の欠点だけに絞られる。もし私たちの態度が穏やかで、率直で、広い心に満たされていれば、かならず満足のいく結果が得られるだろう」(BB)
その後の埋め合わせをするひとの表にも、もちろん彼は入っていた。埋め合わせの表には優先順位を記入する欄があった。「すぐにやる埋め合わせ」「後回しの埋め合わせ」「終わった埋め合わせ」もちろん彼は、すぐにやる埋め合わせの対象だった。

昨日の午後、気がついたら彼と二人で部署にいた。
彼とぼくは、背中合わせのところでそれぞれパソコンで作業をしていた。
埋め合わせの時だ、と感じた。
気乗りしなかったが、後回しにするための都合の良い言い訳は思いつかなかった。
だから彼に思い切って話しかけてみた。

先日の会議を、あなたの都合のつかない日程にしてしまい、申し訳なかった。
あとで、その日あなたがとても忙しく、故意ではなくほんとうに忙しく、昼食をとる間もなかったと聞いた。
忙しくなるかも知れないと聞いていたにも関わらず、その日に会議の日程を決めてしまった。
いまはそのことを、本当に申し訳ないと思っている。
自分としては会議の日程を決めなければいけなかったのだが、あなたの意見を考慮しなかった形となってしまい、たいへん申し訳なかった。
次回の会議は、ぜひともあなたをふくめ全員が出席できる日程にしたいと思っている。
とにかく申し訳なかった。すみませんでした。

驚いたことに、彼は笑顔で話しかけてきた。
その日は自分としても会議に出たかったのだが、ほんとうに不意に忙しくなってしまい、出席できなかった。
みなの日程がなかなか合わないのは承知している。
もしまた同じ日程になってしまっても、それはそれでかまわない。
ただできれば、もう30分早めてもらえれば自分も昼食が取れるだろう。
彼がぼくに笑いかけてきたのは、数ヶ月ぶりのことだった。
それだけでなく、建設的な意見まで出してくれた。
まるでそれは、あらかじめ用意されていた答えのようだった。

おどろいた・・・・という言葉ではとても表現できない。

とてもうれしく、こころが軽くなった。
できればスポンサーと相談してから、と思ったが、きっとスポンサーなら「それでいいよ」と言ってくれるだろうと思い、行動を優先した。
彼が笑顔を見せたこと、そしてぼくのこころが軽くなったこと。
それはほんとうに、すてきな贈り物だった。
自分の意志は、なかった。
4,5のステップを通して、誰かがそれをやるよう、背中を押してくれた。
それはひょっとしたら、神さまだったのかも知れない。
「神さま、わたしを怒りから救い出してください。あなたの意志が行われますように」(BB)
自分の意志ではなく、あなたの意志が行われますように。
やっぱり、こころに鬼を飼うやり方はぼくには合わないようです。

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