ダイアナ・クラール〜抑制の美しさ〜
ダイアナ・クラールの「THE GIRL IN THE OTHER ROOM」を購入。
ここで見た「Temptation」がとても良かったので、前からいちどきちんと聞いてみたいと思っていたアーティストのひとり。
Temptation、クレジットを見たらなんとトム・ウェイツの曲だったんですね。
言われてみればトム・ウェイツらしいメロディ。
メロディと言うか、メロディを超越したトム・ウェイツ節と言うか。
曲もジャズと言うよりはブルース。
でも抑制の効いたダイアナの歌とピアノ、バックの音の涼やかさがブルース臭さを感じさせない。
きっとサンタナや布袋あたりがカバーしたら弾きまくり、泣きまくりのこてこてブルースになるんだろうなーなんて想いながら聞いておりました。
ダイアナ・クラールがこのアルバムでカバーしているアーティストはジョニ・ミッチェル、あと共作でエルビス・コステロ。いずれも抑制の効いた音を作っている人たち。
近ごろ耳にするロックがあまりにもしょもない子どもパンクばっかりなので、こういう静かな音世界に浸ると、なんかほっとします。
がなり立てるばかりがロックじゃない。
トム・ウェイツ、死んでしまったニコ、パンクロックでもテレビジョン、早川義夫。
これまた死んでしまったジョニー・サンダースの「Hurt me」。
かすかなため息、息を吸い込む音。ささやくような歌声。
そこから伝わってくるエモーションは、爆音のディストーションギターよりも強烈にこころを揺さぶるときがある。
静寂のサウンドでしか伝えられない、伝わらない何かがあるんだと思う。
しかしこのダイアナさん。
エルビス・コステロの奥さんだったんですね。
コステロ、ブラックスリムジーンズでギターを構え、世界を斜めににらんでいたころとはずいぶん遠いところに来ちゃったんだなー。オレもトシ取ったなー。しみじみ。
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