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2004年6月15日 (火)

イライラ

ずっと忘れていたことなんだけど。

お酒が止まった最初のころ、すごくイライラしていた。
最後の酒から4ヶ月目くらいの時のこと。
そのころ、ずっと面倒を見てもらっていた女性とすったもんだの末に分かれた。
別のひとを好きになったのがきっかけだったんだけど、でもその女性のところにずっと世話になっていては自分がダメになるとはずっと感じていた。
でも、どうやってそこを出たらいいのか分からなかった。
スポンサーやほかの仲間にも相談して、とにかく分かれた。
分かれたとき、ぼくはその女性の家のすぐ近くにアパートを借りていた。
日当たりがよくって静かで交通の便もよくてとても気に入っていた。
でも、そのアパートも出ることにした。
別のアパートを探さなくては。

不動産を回って、良い物件が見つかった。
話がまとまりそう。
仕事もあったし、そうそう不動産にも行く時間が取れない。
電話での連絡が主だった。

ある日、電話をしたらアルバイトらしい若い女性が出た。
入居に関する手続きの件を切り出したら、まるで話が通じない。
その件については自分は聞いていないので、申し訳ないがいまは交渉を進められない、と言う。

カッとなった。

たがが外れた。
電話口で、そのアルバイトの女性にかなり強い調子で責任を問いつめた。
あなたにとっては仕事のことかも知れないが、自分にとってはとても大事なことなのだ。
自分はいまどうしてもどうしてもその話を進める必要があって時間もない。
話を聞いていない、では困る。
どうして聞いていないのか。
連絡が悪いのはそちらの責任ではないか。
信用商売なのにその業務態勢は、いったいどういうことなのか。

アルバイトの女性は何度も謝りの言葉を繰り返した。
申し訳ない、とにかく担当者がいるときにかけ直してくれないか、と。
最後には声がうわずっていた。

電話を終えてから気がついた。
自分が電話していたのは、別の不動産だった。

よっぽどもう一度電話して、自分の間違いだったことを話してわびようか。
謝った方が良いんじゃないか。
でもぼくはそうしなかった。
気を落ち着けてもう一度電話番号を確認して、本来の不動産に電話した。
そして話を進め、いまこうしてそのアパートに暮らしている。

あのときのアルバイトの方、ほんとうにごめんなさい。
あのときの自分はおびえていて、イライラしていたんです。
とにかくアパートを出ることを焦っていた。
その女性がいつまた訪れてくるか、気が気じゃなかった。
だからといってあなたに当たって良い道理はないですよね。
ごめんなさい。

そう言うことがあったこと自体を、すっかり忘れていた。
酒が止まったばかりのころは、自分の正気を疑わなかった。
でもいま思い返すと、イライラの連続だった。

いまはどうか?
わからない。
でも、少なくともあのころの自分をようやく振り返ることができるようにはなった。
性格上の欠点、まだまだ山ほどありそうだ。

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