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2004年5月29日 (土)

ブラックアウトとタイムマシン

ソブラエティ。

ソブラエティってなんだろう?
お酒を飲まない生き方。じゃあ酒を飲まない生き方って?
そもそも生き方ってなに?
ひとに教わること?自分で方向を決定してそこに突き進んでいくこと?

ぼくは酒を飲まずにいることがどうしてもできなかった。
アパートに帰り、自由な時間があると、かならずウォッカか安ウイスキーに手を伸ばした。
酔いが回ってきて心地良いのは、ほんの一瞬だけだった。
一瞬の酔い、そしてブラックアウト。
気がついたら世界が一回転していて、次の日になっていた。
最初のうちはそれがおもしろかった。ぼくのタイムマシン。
どんどんサイクルが短くなっていく。
酒を口にしてわずか30分も経たないうちにブラックアウトが訪れ、気がついたら翌日の昼どころか夕方になっている。
ものすごい頭痛。吐き気。
ほとんど固形物を食べていないのでまっすぐ立てない。
なぜか分からないけれど、体中の筋肉が痛い。

「横紋筋融解」ということばを知ったのはずっと後になってからだ。
アルコールで、体中の筋肉がとろけていく。そう言えば新しい仲間で、妙にやせこけてて手足が棒きれみたいなひとも見かける。
ぼくもまさにその典型だったけれど、自分の身体がアルコールでぼろぼろになっているだなんて思いもしなかった。

そんなぼくが学校を卒業できたのは奇跡だった。
ブラックアウトで、試験勉強なんて手につかない。
試験を受けられればまだいい方で、ブラックアウトのあいだにテスト自体が終わっていたこともしばしばだった。
テストをサボったために呼び出しの掲示が張られていることさえ気がつかなかった。

アルコールの海の中に沈んでいると、テストも去っていった女の子も死んでしまったロックンロールも、どうでも良かった。
ブラックアウト。そしてタイムマシン。
人生はクソだと思った。長髪でちいさな町の中をさまよい歩いた。
ギターケースを抱いたまま地下道で眠りこけた。
でもほんとうは、そう言うことを語って放浪詩人気取りの自分に酔っているだけだった。
自分を哀れむ気持ちを見たくなかった。
怒り。哀れみ。自分が嫌い。他人が嫌い。東京に行ったアマチュアバンドの知り合いがうらやましかった。
名の通ったライブハウスで定期的に活動しているなんて聞くと耳をふさぎたくなった。

のちに奥さんとなるひとと知り合った。
何とか卒業できて、働きはじめた。結婚した。
でもぼくの中のそんな気持ちはまったく変わらなかった。飲酒はひどくなっていった。
この話続く。

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