つぶれたパチンコ店の駐車場で
〜つぶれたパチンコ店の駐車場で〜
運転席。窓の外の風景を見ていたら、つぶれたパチンコ店が目に付いた。
そのままハンドルを切って駐車場にクルマを止めた。
つぶれたパチンコ店にはだれもいなくて、見通しのいいおおきなガラス窓の向こうに、反対側の空が見えた。
もちろん、掃除なんてしていないから近づくと汚れが目立って、誰かが吐き捨てたガムが乾いてくっついていた。
それでも切り取られた反対側の空は青かった。
国道のクルマの音がとぎれると、風がわたるおとが、かすかに聞こえた。
夏の雲が、手を伸ばせば届きそうだった。
駐車場はきれいに乾いてて、つぶれたパチンコ店の影と消えかけた白線だけこびりついていた。
空が青くて、夏の雲がいまにも届きそうだった。
しずかな夏。
| 固定リンク
コメント