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2004年5月24日 (月)

AAの仲間たち(1)

きょうはホームグループのミーティングだった。
仕事を終えて会場にはいると、すでに5,6人の仲間がテーブルを囲み、思い思いに好きなことをしていた。
数名で雑談に花を咲かせている人たち。
一人でステップの本を読んでいるひと。
会場の外でタバコを吸っているひと。ケータイでメールを打っているひと。
ミーティング前の、いつもの風景だ。
こころが落ち着く。
雑談の輪に加わるも良し、興味のない話題だったらただ座っていればいい。
そこにいればいい。

なかまたち。

ミーティングに来たばかりのころは、ミーティング前後のこういった時間が苦痛でたまらなかった。
自分の居場所がないように感じられた。
雑談にはいることもできず、かといって一人でじっとしているのも苦痛だった。居所がないように思えた。
ほかのひとたちがみんな、自分の様子をうかがっているように思えた。
雑談に聞き耳を立てていると、自分のことを言外にうわさしているように聞こえた。
だからなるべくミーティングが始まる直前か、始まった直後に会場に足を踏み入れるようにしていた。
仕事が終わってミーティングまで時間が余っていると、本屋で立ち読みをしたり回り道をしたりしていた。

そんなにイヤだったら、どうして行き続けたのかって?

たぶん、こわかったんだと思う。


仲間、と呼ばれる人たちから拒絶されるのが。
どんなになじめなくても、その輪の中に入らなければいけない。
そうしなければぼくはここでもまた孤独のなかに置いてけぼりにされてしまう。

だから、自分が加われそうな雑談だったらとにかく突っ込んでいった。
仲間の意見をしゃにむに肯定した。

「あそこのスーパーは高いよね、店員も態度悪いよ」
「そうですね、その通りですぼくもそう思いますわかります」
「水を金出して買うなんて信じられないよ」
「そうですね、その通りですぼくもそう思いますそうだと思います」
「あすは晴れると良いなぁ」
「そうですねその通りですまったくその通りですだいじょうぶです」

ぐったり疲れて帰ると、もういちにちが終わってしまう。
ミーティングでの仲間の話は、すべて自分に対する提案だと思っていた。
ミーティングで話されたことをすべて受け入れるか、さもなくばこの、世界で最初で最大の自助グループを離れるか、どちらかだと思っていた。

全か無か。
まさにアル中の発想。

正直に言うと、いまもミーティング会場に入ると、すこし緊張する。
でも、それで良いんだと思う。
少し緊張しながら、仲間の雑談に耳を傾ける。
入りたければ入ればいい。
入りたくなければ、ただそこにいてチラシに目を落としながら、きょういちにちの出来事を振り返ってもいい。
知らない話題を振られて困ったら、困った顔をすればいい。

そして時計の針が7時をさし、ぼくは序文を読み始める。
「AA、アルコホーリクスアノニマスは経験と力と希望を分かち合って共通する問題を解決し、ほかのひとたちもアルコホリズムから回復する手助けをしたい、と言う共同体である。AAのメンバーになるために必要なことはただ一つ、飲酒をやめたいという願いだけである・・・・・」

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